464.jp、ついに配信停止・・・

一部の好事家の間で評判となっていたゲリラサイト「464.jp」が、ついに配信停止に追い込まれたらしい。

464.jp

このサイトは、村元寅次という個人(マンガ喫茶の経営者らしい)が、マンガをとにかくスキャニングしてpdfファイル化してネットで公開(試験期間中ということで今年3月までは無料とのことだった)するという、いやはや、何ともゲリラなサイトで、しかも、著作権管理団体らしきもの(「全日本漫画著作権管理機構」という名称)を立ち上げて、そこを通してマンガ家団体に著作権使用料を支払うということまでブチ挙げていたので、個人的に苦笑、いや、期待していたわけですが・・・。

私は一応、「仮会員」登録まではできたのですが、そこから正会員への登録が、なぜかできず、結局464.jpというサイトから閲覧ができなかったのですが、「仮登録」会員に対してもお知らせメールが届いていまして、本日、以下のようなメールが来たというわけです。

--------引用開始--------

お詫び

2005年1月23日よりサーバの新規移転作業を行っておりましたが
出版社および漫画家の先生方々より
配信停止要請をいただき当サイトも著作権契約を
しておりませんでしたので上記の各方面にご迷惑をおかけしました

このままでは問題が出ると考え 25日コミックの配信を
停止いたしました。

いままで当サイトは「21世紀のコミック作家の著作権を考える会」の方と著作権の支払いについて
お話し合いをさせていただき、同協会の意思を私なりに理解し著作権者に
対して著作権料を新しい形で徴収しお支払いする仕組みを作りご提案をしてまいりました。
しかしながら 今回のような停止依頼が参りましたので
依頼に従い停止いたしました。

皆様にご迷惑おかけいたしますこと深くお詫び申し上げます。
コミック・マンガ業界が 更なる発展をしていくことを願っております

著作権者の方と契約が出来きましたら464.jpを再開いたします。
近々464.jpの近況もお知らせ致します。今後ともよろしくお願いいたします。

現在 有料会員の方からお預かりしている利用料金は
お振込み頂いた料金を返金いたします
お振込み時のお名前、振り込み受付番号、振り込み金額
こちらからお振込みする 
お名前・銀行名・支店名・口座種別・口座番号を
ご記入の上、下記メールアドレスにご連絡ください
確認取れ次第順次ご返金いたします
info@muramoto.net
【重要】このメールを返信しても送信専用なので管理者あてに届きませんので
くれぐれも返信でお送りにならないようご注意ください。

★★ 手作業による作業のため1週間ほど処理に掛かると思います ★★

464.jp臨時サーバ http://58.158.184.14

このメールは退会された方にも念のためお送りしております。
ご迷惑おかけいたしますがなにとぞご理解ください。
*******************************************
464.jp管理運営者
村元 寅次
*******************************************

まがCGI(c)Copy Right 2001 Chama.ne.jp All Rights Reserved

--------引用終了--------

・・・無事著作権者と契約を交わしていただいて、再開なされることを心から願っております!
(インターネットアーカイブ社はこのサイトをアーカイビングしているのだろうか・・・?)

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「予備的調査」の内容を推察すると。

つづきです。
以上の調査により明らかになったのは、

「予備的調査」は、日本ビジュアル著作権協会の息がかかった「知的財産権を守る議員連盟」が中心となって出されたものと推測できる、

ということです。
そうすると、この予備的調査の内容は、教材が教育現場でどう使われているのか、とか、教育現場できちんと著作権保護がされているのか、とか、外国で教材の著作権関係がどうかとか、外国では教科書補償金制度があるのかとか、そういうことなのでしょうか。日本ビジュアル著作権協会の主張や前田議員のインタビューなんかを読むとそんな感じがします。

ひょっとして、来期の法制小委では、このあたりが議論になるのかもしれませんね。
また権利制限の縮小の議論ですか。もうやってられませんね。
とはいえ、図書館には累が及ばないので、少しはましかもしれませんが・・・

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「知的財産権を守る議員連盟」ってあるんですね。

つづきです。
で、前のページにすると、
「【ニュース】知財保護へ議員連盟が発足(5月31日)」っていうページへ。

今年の3月11日に「知的財産権を守る議員連盟」が発足したらしい。結成集会には国会議員や作家
法律家など計50人が参加したらしい。
発起人は、海部俊樹元首相(自民)、羽田孜元首相(民主)、鳩山由紀夫民主党元代表、大田昌秀参議院議員(社民)だそうです。超党派の大物議員ぞろいですねぇ。国内の知財を保護する法律を整備し、「知財立国」を促進するのが発足の趣旨だとか。菅直人議員もメンバーだそうです。
前田議員のあいさつ、すごいですよ。利用者側の立場をとられるブロガーさん、卒倒なされないようにご注意を。
「3000万人がネットを使う時代に、著作権をいかに守っていくか大きな課題」うゎ〜!!権利者がぶり寄りじゃないの。
次。樽井良和議員「任天堂はかつてゲームソフトを米国企業にコピーされたとして裁判で徹底的に闘い、ディズニーもキャラクターを無断使用されたとして新宿の闇社会を相手に闘った。こういう会社が伸びている」あの・・・任天堂ってかつてはバリバリコピーしまくりだったんでしょ?ディズニーも闇社会だけじゃなくって保育園なんかにクレームかけまくり、ロビイングで保護期間も延長しまくったでしょ。ああ、だめだこりゃ。

少し前、「われらエンタメ族」なんていう記事で、レコード輸入権導入をめぐって公取を脅していた「知財族」の様子が紹介されたことがありましたが、こういう「知財族」の牙城がまた誕生したんですね。民主党エンタメ議連が風前の灯状態の中、またしても権利者寄りの族議員が登場してしまいました。ああ、おそろしや。

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やっぱりビジュアル著作権協会か!?

先のエントリで、「知的財産権保護に関する施策と教育現場における著作権保護に関する予備的調査申請書」についての情報キボンヌって書きましたが、あっさり分かりましたので報告します。

やっぱり「日本ビジュアル著作権協会」がらみのようです。
提出者である前田雄吉議員の氏名と著作権ということで「前田雄吉 著作権」とググってみたら・・・。
一番トップに「日本ビジュアル著作権協会」のサイトが表示され、クリックしてみると、
「【インタビュー】教育現場における著作権問題の重大さ(5月31日)」という、同協会のニュースサイトの一ページに飛び、「著作権問題を中心に議連事務局長の前田雄吉氏に聞いた」っていう記事が現れます。

「議連」って?という疑問はさて置き、読んでみますと・・・
・著作権の問題が発生したから本文を載せないという教材が多く載せられている。これでは子どもたちがまともに勉強できない。
→日本ビジュアル著作権協会のやり方に問題があるのでは?
・教材会社を束ねる団体に多くの文科省OBが天下っている。これは癒着だ。
→著作権と無関係では・・・?
・教材会社にも著作権料を支払って作品を使いたいところもあるのに、こうした構造に縛られている。
→「こうした構造」って、何??文科省OB天下りと関係アンノ?
・こうした状況を変えるため、議連では教材会社を読んでヒアリングをし、委員会質問などを活用して著作権法改正などに取り組みたい。
→現行法でも作家は著作権で保護されているので、この改正って教材会社の有利なような改正でしょうか?でもその前に「癒着」とか言っていますので、教材会社寄りの活動をするのはおかしいか。だったら何をしたいんでしょう?ハテ?
・それともうひとつ、作家の皆さんにもぜひ声を掛けていただきたい。現状をかえる大きな力になるから。
→やっぱり教材会社寄りか。ひょっとしてこの改正って、教材会社が作品を無断使用したら罰則を厳しくするっていう内容かもしれませんね。

とまぁ、よくわからないインタビューでしたが、次はこの「議連」とは何かを調べるため、このページの「前のページ」というボタンをクリック。すると・・・
「三木卓さん、富山和子さんが著作権侵害の実態を報告(5月31日)」という記事が。

そこには、おそるべきことが書かれていました。
三木卓さんの作品が問題集でズタズタになっている、という「告発」が!
(問題なんだから仕方ないのでは??同一性保持権の例外規定を削れっていうのでしょうか)
それはいいとして、富山和子さんの「告発」って、教科書補償金制度が安すぎるっていう内容。これって「著作権侵害」じゃないですよ(笑)

そして、一連の教材訴訟の「黒幕」である藤原弁護士による「経緯と現状」が。
いやぁ、すごい。
東京高裁の裁判官が「教科書で使われている作品が教材で使えないのはおかしい」と言ったのを「日本人の非常識」と断言してます。ホントか??
で、法改正を求める、と。

なるほど・・・この人は、著作権法33条廃止論者だったんです。すなわち、議連の活動目的は、教科書補償金制度を廃止して、すべて作家の許諾が必要にするということだったんです。

というわけで、さらにページを前に送りますと。
【つづく】

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近デジへの質問主意書の質問本文が公開されました。

以前、国立国会図書館のアーカイブ事業に関する質問主意書が出されたことを紹介しました。そのとき、まだ質問本文が公開されていないのでよくわからない、と書いたのですが、本日衆議院HPを確認したら、公開されていました。

http://www.shugiin.go.jp/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a163034.htm

経過情報」をみると、平成17年11月4日に答弁書を受領していることになっていますので、もう処理は終わっているはず。どんな回答になっているのでしょうか・・・。

で、質問本文を読んでみたら、国立国会図書館については全5問中1問で触れられていただけ。のこりは、レコード、映画、放送番組のアーカイブをつくらないのか、とか、青空文庫のような事業に支援等しないのか、という内容でした。近デジについての質問も、近デジを文化的にどのように政府として評価しているのか、というものでした。保護期間延長反対の立場からの質問なのでしょうが、結構遠回しに尋ねているなぁという感じがしました。

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文芸5団体の公貸権関連声明(長くてすみません)

またまた三田さんがやってくれたようです。
昨日(11/8)、日本文藝家協会をはじめとする文芸5団体が、「図書館の今後についての共同声明」を出しました。

Mainichi Interactive
共同声明:図書館貸し出し補償求める 文芸家協会など
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/gakugei/news/20051109k0000m040092000c.html

YOMIURI ONLINE
文芸家協会など5団体、図書館の充実求める声明
http://www.yomiuri.co.jp/national/culture/news/20051108ij21.htm

このニュースは毎日や読売の「紙の方の」新聞紙上でも掲載されていますが、どちらもネットの記事の方が内容が詳しいですので、ネットニュースをご覧になることをおすすめします。

お、著作権関係のブログでも早速このネタを取り上げられていますね。さすが。
Copy & Copyright Diaryさん、万来堂日記さん、エンドユーザーの見た著作権さん、著作権云々さん、ふっかつ!れしのお探しモノげっきさんで取り上げられていました。「図書館振興なんて言うけど、要は公貸権導入が目的なだけなんじゃないの?」という論調もあり、私も激しく首肯するところです。

つまり、この声明では、(1)図書館予算の増大、(2)図書館司書の増員と、図書館の強化を訴えた上で、最後に(3)国家または公的機関による著作者等への補償制度の確立を訴えているわけですが、これまで図書館のことを目の敵にしてきたこれらの人々(日本文藝家協会の三田さんも、日本推理作家協会の大澤さんもそうですよね?)が、なぜ今になって、図書館の強化も内容に含んだ声明を出すかが、いかにもうさんくさいわけですよ。で、(1)(2)を出して図書館から賛同を得たうえで、(3)についても図書館側の理解を得よう、そんな観測が出てくるわけです。

このことについてですが、実はこの声明、当初は日本文藝家協会と日本ペンクラブが日本図書館協会と一緒に出そうとしたものらしいのです。ところが、日本図書館協会は、2004年3月5日に、「図書館の基盤があまりにも貧しい現状では、公貸権制度の導入は時期尚早。まずは欧米並みに図書館の基盤が強化されることが先決」という内容の見解を出しています(「図書館における貸与問題についての見解」(2004年3月5日))から、到底受け入れられないわけで、難色を示したわけです。そうしたら、ということで、三田さん(とおそらく日本ペンクラブの松本佑子広報委員長)は、日本推理作家協会、日本児童文学者協会、日本児童文芸家協会に接触して、著作者団体合同での共同声明ということにしたのではないかと思います。

また、聞くところによると、この声明、少し前には文案が固まっていたとかで、一部では「なぜ発表しないんだ」という声もあったらしいです。そして、「10月27日の文字・活字文化の日に発表するんじゃないの?」という観測まで出る始末。う〜ん、なぜこの時期なのかはギモンですね。

この声明で私が一番驚いたのは、日本推理作家協会が名を連ねていたことです。この協会は、公貸権制度の導入よりも、貸出猶予を主張していて、昨年文化審議会著作権分科会に出した要望書でも、「公貸権の導入にあたって、国や自治体に補償金等の財源を求めるものは、金額的にあまり実効があがらぬ恐れがあるほか、手続き的にも繁雑な作業が予想される」としたうえで、「新刊本の売れ行きは、発刊後2週間ほどでピークを迎え、6ヶ月ほどでほぼ落ち着く。いわばこの6ヶ月が、著作権者等の主たる収益回収期間なのである。この利用機会を保護するため、公共図書館に一定の貸出猶予期間(3〜6ヶ月程度)を設定するよう、法制化を進めていただきたい」(*)と書いています。
日本推理作家協会は見解を改めたのでしょうか・・・??

(*)http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/bunka/gijiroku/013/04093001/002/004-4.pdfの(82)とヘッダーが振ってある文書が、日本推理作家協会の要望書です。このpdfファイルはかなり重いので、ご覧になる際にはご注意ください。

あと、今回の声明で最初に図書館予算と司書の増大を求めていることについてですが、おそらく先の日本図書館協会の声明を意識してのことだと思います。先にも述べたとおり、日本図書館協会では、欧米先進国の水準にならない限り、公貸権導入の議論を行うのは時期尚早という立場を取っています。そこで三田さんは、図書館予算と司書の増大を実現して図書館を欧米先進国並みの水準に引き上げれば、日本図書館協会が公貸権導入の議論の場に参加せざるを得ないと考えたのではないのでしょうか。

また、この声明、文芸5団体が共同して出したということにもかなり意味があります。これも伝え聞くところによりますと、文化庁は公貸権制度の導入要望につき、文芸家の団体で意見を一本化しない限り受け付けない意向を示したそうなのです。で、先に述べたとおり、日本推理作家協会は公貸権制度に消極的だったので、意見の一本化が実現できなかったのですが、この声明でようやく一本化が実現し、文化庁にあらためて要望するための環境を整えたというわけです。

公貸権制度導入推進派にとっては、文字・活字文化振興法の制定に引き続き、公貸権制度導入のためのステップをまた一歩進めたことになります。これで今後はますます公貸権制度をめぐる動向を注視する必要がありそうです。

なお、日本図書館協会は、本日付けのメールマガジンにおいて、「日本図書館協会は、共同声明で図書館への理解、協力を示されていることについては心から感謝するものであるが、「著作者等への補償制度」が「図書館の貸出しに対する補償金」との考え方をされていることについては賛成できない旨をかねてから表明している。文芸文化を護ることは、図書館も含めた国民の知的基盤にとって大事なことであり、そのために著作者、出版社など関係者との協力を強めていくものである」とのコメントを発表しています。従来の日本図書館協会のスタンスからみれば当然のコメントといえるでしょう。

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諸外国の公貸権制度の調査報告が発行!

数年前から公貸権だとか公共貸与権だとかという制度の導入につき、主に日本文藝家協会あたりから要望が出されている状況のようで、日本ペンクラブの松本侑子氏なんかは、あの文字・活字文化振興法案のシンポジウムで臆面も無く制度導入を訴えていたわけですが、その公貸権の諸外国での制度について、著作権の専門家による調査が(社)著作権情報センター附属著作権研究所というところで行われていました。

そして今般、この調査報告が、同研究所から発行されたとのことです。
何でも同研究所に連絡すれば、誰でも無料で分けてもらえるらしいです。
みなさんも、ぜひ分けてもらい、読んでみましょう。

風のうわさでは、あの三田誠広氏がこの報告書の完成を待ち望んでいるとか。「どうです。ヨーロッパではこういう実績があるんです。日本もこの制度を導入しなければ、野蛮人と罵られますよ!」とでも言うつもりなのでしょうか(w

私の知るところでは、諸外国の制度導入の実態はお寒い限りのようなので、三田氏がこの報告書を読んで意気消沈するのでは、と、何だか心配になってきたりします。

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衆議院HPに文字・活字文化振興法案の要綱・本文がUP!

衆議院HPにて文字・活字文化振興法案の要綱・本文がUPされていました。
(なぜかどちらも冒頭に「一」という文字が無意味に記されています・・・)

文字・活字文化振興法案要綱(衆議院HPから)

文字・活字文化振興法案:本文・理由(衆議院HPから)

・文字・活字文化振興法案(第162回国会衆法第24号)審議経過(衆議院HPから)

コメントは、後ほど。

そういえば、日本図書館協会も同法案に関する声明を発表したようですね(Copy & Copyrightさん経由)。

日本図書館協会「文字・活字文化振興法案について」(2005/7/8)

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知財推進計画2004の見直しに対する意見が公表

謎工さんの新Blog "The Casuarina Tree"経由で、
あの知財推進計画2004の見直しに対する意見(私は出しませんでした・・・すみません)が公表されたことを知りました。

知的財産推進計画2004の見直しに関する意見募集の結果について

それを早速読んでみました。
う〜む、謎工さんの「工作」が効を奏して(謎工さんご自身のものと思わしきご意見も多数見受けられますが)、全体的に保護強化反対の立場の意見が多いです。

ですが、ごく少数ながら、出版者の方のご意見(p.46)や、推理作家協会の方?と思わしきご意見(p.50)なども。
ところが、この出版者の方のご意見、明らかに版面権の創設を求めていらっしゃると思うのですが、事務局の方が「版面権」としてまとめたところではなくて「デジタルに対応した著作権」というカテゴリの中に入っています。また、上映権の権利制限の限定反対の意見が「版面権」のカテゴリに入れられていたり・・・作成なされた方のご苦労が偲ばれます。

「推理作家協会の方?と思わしきご意見」とは、次のものです。

○公共図書館の貸出に対し著作権使用料を支払う制度を導入する。公貸権料は全国の図書館の貸出明細を貸与権管理センターにおいて年度毎に集計し、しかるべき料率を以てその額を算定、それを書証として各著者に送付する。著者は確定申告時に同証書を添付、使用額相当分を所得控除として申告できるものとする。出版物の収益回収期間として、公共図書館の貸出開始までに一定の準備期間を設ける。(p.50)

これがなぜか「著作権の管理」にカテゴライズされています。「貸与権管理センター」という記載があるから?せっかく「貸与権」というカテゴリを設けている(pp.44-45)んですから、そこに入れないと!
(そしてそのカテゴリには、「貸与権管理センターが動いていない」といった内容の意見書があるわけで・・・)
ここでは、公貸権の導入と同時に貸出し猶予期間の新設まで要望していますから、おそらく日本推理作家協会の方か、その主張にご賛同なされた方がご提出になられたに違いありません。

しかし、図書館の貸出しと出版物の売上げ減少の因果関係って、論証されていない(むしろ否定的?)んじゃなかったでしたっけ?(まぁ、公貸権を導入している国でもこの因果関係を証明している事例はないんですが)

公立図書館貸出実態調査2003報告書(日本書籍出版協会HPから)

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パネルディスカッション(3):「文字・活字文化振興法」シンポジウム(9・完)

シンポジウム「今なぜ文字・活字文化の法律なのか」の続きです。
例によって発言の正確さは保証しませんから、細かい揚げ足取りなんかには使わないでくださいね。
(もっと正確なのは後日読売新聞やYomiuri Onlineの「21世紀活字文化プロジェクト」のページなんかに掲載されるでしょうから、そちらをご参照ください。)

○ パネルディスカッション「今なぜ文字・活字文化の法律なのか」(承前)

児玉:出版業界から何か要望は?
小峰:この法案によってこの10年の施策が生かされた感じがした。子どもの本の議員連盟との連携も進んでいる。国の施策では、文化審議会の平成16年の答申「これからの時代に求められる国語力について」に期待している。
これまでの施策によって、子どもの読書環境が活発になってきた。今度の振興法はすべての国民が対象となっている。社会全体への取り組みはこれからである。
公共図書館の予算削減は、出版業界にとっても読者にとっても深刻な影響があるので、公共図書館や学校図書館の整備が求められている。
「施策の展開」については、この10年に必要な施策が並んでいる。法律の実体化のためには、この「施策の展開」のところを実体化できるかがポイントとなると思う。
学校図書館に関する要望については、教育現場の方の要望と捉えている。学校図書館整備5ヵ年計画が平成18年で終了するので、平成19年に向けて、次は高校の学校図書館も入れた施策が求められる。また、学校図書館法改正時の附帯決議を実現していただきたい。
すべての自治体に公共図書館の設置をがんばっていただきたい。3,200ある自治体のうち、設置自治体が1,800もない状態である。設置基準の改革も進めていただきたい。また、読書に関する専門職員の育成も行っていただきたい。
この法案は、活字文化振興のための重要な道しるべとなるものである。国会会期中の成立に向け、エールを送りたい。

児玉:気になるのは学校図書館整備費予算のことで、交付税予算になっているので図書館の整備に使われていない割合がかなりのパーセントであると聞いているが。
河村:日本の予算の組み立て方に問題がある。試算では学校ごとに算定を行っており、年間150億円を組んで都道府県に出している。そして都道府県段階では首長に任せることになっている。地方分権の時代ですから。これが政策官庁としては問題となっている。
町長や市長なんかが熱いところはこの予算以上が支出されている。したがって、省に数字が上がってくるときは、数字が合っている。ところが、「未来議連」で具体的に各自治体に尋ねると、自治体によって格差が出ている。これをきちっとやらないといけないと思っている。このことを各地方でも言っていただかないといけない。

児玉:図書館の存在を知らないところもあるだろうから、リーダーシップを取る人の見識によることになる。
司書教諭を増やす方策は?
肥田:学校図書館を充実させるには、人と本が必要。ところが、人はほとんどが兼任。授業を持って、終了後に図書館へ駆け込むという状態で、過酷な状態である。何としても専任とすることが必要。
「学校司書」という文言を入れたかったが、法律で定められている名称ではないので「専門職員」としている。こういう人の配置はぜひ進めなければならない。

児玉:高学歴の人のモラルの低下の状況に今回の法案がもたらす影響は?
鈴木:教育基本法の改正の問題を抱えている。と言っても、復古調のものを作る気は無い。我々の目指すイメージは、豊かで平和な民主主義国家である。私はプロジェクトリーダーとして1回2時間の会議を50回程度行っている。文字・活字文化振興法は議員立法で、教育基本法改正は内閣から提出してもらう。現在はこの詰めの作業をしているが、この教育基本法改正により、教育振興基本計画を策定することになっている。この計画の中に、学校図書館、司書教諭、図書館の問題などを位置づけるよう、お互い進めていて、お約束させていただく。

児玉:この法案へのエールをお願いします。
松本:日本文藝家協会も日本ペンクラブも、この活動に敬意を表しています。理事会でもこの法案を説明させていただくつもり。
学術書の話を少し。学術書は中小だけでなく大手からも出されている。大手出版社も公共の役割を果たすために儲からないながらも学術書を出している。赤字覚悟で出している。この予算は大ベストセラーの売り上げを振り向けて出されている。図書館協会に調査結果を出していただいたが、その中で浅田次郎さんの『鉄道屋』が1年間で70万冊も借りられていることがわかった。このことは悪いことではないが、出版社がこの売り上げで学術書を出していることを忘れないでいただきたい。学術書は「売れる本」から出ていることをどうか忘れないでいただきたい。

児玉:何かございましたら。
小峰:学術書や専門書は、いわば「基礎研究」のようなもので、5年から10年かけなければならない。子どもの読書推進法は基本計画があるから動いている。その推進を期待したい。

児玉:決意表明を。
肥田:人が人らしく生きるためには読書は欠かせない。この法案の骨子案を透かしてみると「施策の展開」が見えてくる。この施策はみなさまで実施するもの、協力するもの。心の食料自給率を今問われているので、みなさまと一緒にがんばっていきたい。
河村:推進議連285名のお力を借りて進めていきたい。衆参の文部科学委員会・文教科学委員会で議論していただく。郵政民営化法案の動きで延長するかもしれないが、今国会の会期は6月19日までしかないので、超党派で全員賛成で短期間で上げてもらうことを両委員会の幹部に申し入れている。
公貸権や版面権も、積み残された問題として議論していきたい。この法案を表に出すことで進めていきたい。

[17:20 閉会]

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パネルディスカッション(2):「文字・活字文化振興法」シンポジウム(8)

シンポジウム「今なぜ文字・活字文化の法律なのか」の続きです。
例によって発言の正確さは保証しませんから、細かい揚げ足取りなんかには使わないでくださいね。
(もっと正確なのは後日読売新聞やYomiuri Onlineの「21世紀活字文化プロジェクト」のページなんかに掲載されるでしょうから、そちらをご参照ください。)

○ パネルディスカッション「今なぜ文字・活字文化の法律なのか」(承前)

児玉:現状はどうか。
河村:ゆとり教育が学力低下を招いた、ということは果たして本当のことか?OECD調査結果ではずいぶん落ちたとみえる。これで日本の学力が落ちたか、と思うが、この調査の設問は、読解力を見ていて、単なる知識では対応できないものだった。
解答者の上位は昔と変わらず、下位層が増えているのが全体を下げている。詰め込みや偏差値教育の弊害ではないか。知・徳・体のほかに「食」育という、人間力を備えた教育を提唱しているが、本を読み、発信することが必要。テストの成績が悪いので見直してもそれで上がるのか?と言っている。
トップのフィンランドの教育担当の国会議員10名と議論をした。フィンランドの授業時間は日本とは変わらない。5月に視察に行くが。先生の質(大学院修士卒が条件)や、落ちこぼれをつくらない教育をしている。日本もこういう方向に行くことが必要だと思う。
「総合的学習の時間」がうまく活用されているのかを検証するのが大事だとわかってきた。富裕層かそうでないか、家庭の中身が「富裕」かどうかで格差が生まれてきた。東大生の親の平均給与が高いということもわかった。
まずレールであろうが、成果をあげる仕組みを考えるのがゆとり教育である。ただシリを叩くのがよいのではない。

児玉:フィンランドでは先生が修士号取得者。99パーセントが公立校なんだそうです。まさにおそるべし、フィンランド。
鈴木:補足的に言うと、今の子どもたちの方が能力が高いこともたくさんある。ITや音楽、芸術などの自己表現などがそうである。トータルの力で子どもをみなければならない。そうすると活字文化を推進することが必要である。環境教育法や文化芸術推進基本法など、色々と努力しているが、ポイントがつかめないのが現状である。

児玉:今後の具体的な方向についてお聞かせいただきたい。
河村:(「文字・活字文化振興法の施行に伴う施策の展開」にそって説明した後、)読むだけでなく書くことも大事にしよう、という思いも含まれている。
公立図書館も、小さな市町村では図書館が無い。これを整備する必要がある。今度は公立図書館の番である。この法案により、未設置自治体での公共図書館の計画的整備を進めたい。
学校教育では、「図書館科」を設け、教員の質を上げる。そして、司書教諭の専任化や小規模校への配置、国際子ども図書館とのネットワーク化、盲・ろう・養護学校図書室の整備を行いたい。また、NIEの位置づけを明確にしたい。
次に、出版事業の支援である。学術書の支援や再販制度維持、出版者の権利保護も真剣に考えなければならない。世界で日本語の翻訳書を出すことで、日本の本の紹介をしたい。文部科学省の予算にも設けている。ブックフェアなども開催したい。
これから法案化を進めるが、必要なものがあればご意見をお寄せいただきたい。法案化の参考にさせていただく。
鈴木:書く力を復活させたい。

児玉:この法案でどういうことが可能か?
肥田:人生のそれぞれのステージで読書ができる環境を整えようと思っている。
子どもをひざに乗せて絵本の読み聞かせをするところから始まるが、学年が上がっていくと本を読まなくなる。高校生の60%以上が本を読まない。
そうなったらなぜマズいのか。
大学は本を読むところである。それができなければ、大学の授業が成り立たない。就職しても、社会のテキストが読み取れなければ、コミュニケーションが取れなくなる。したがって、高校生の不読は大問題である。
学校教育の全過程に読書を入れる。教員養成課程にも入れる。学校図書館は地方であまりにも格差がある。無関心な校長のいる学校はひどい。
「読書はヒマがあればやる」のではなく「読まねばならない」に変換すべきである。認知症にも音読が効く。安藤忠雄先生は「家を造るのにはまず本棚を作れ」とおっしゃった。
お役所の方も民間の方も沢山来ていると思うが、この法案は、しっかりやるための第一歩と考えている。

児玉:「小説を読まない国に未来は無い」ということだろう。この法案に掛ける期待をどうぞ。
松本:民間のレンタルブックに貸与権が与えられ、形の上では施行されている。
しかし一方では公共図書館では6億冊もの本が貸し出されている。これは作家の経済的利益の侵害ではないか。日本以外の先進国では公貸権があり、作家にお金が支払われている。60年前のデンマークが最初で、その後次々と北欧諸国で生まれている。この制度には文化的な意味合いがあり、北欧では母国語で書かれたものを保護している。
オーストリアやイギリス、ドイツでも設けられ、カナダやイスラエル、そしてフランスでも最近設けられた。
我々は公貸権を切実に希望している。ペンクラブと文藝家協会は、日本図書館協会や文化審議会などにも話をしに行った。シンポジウムを開き、沢山の方々が来たが、話し合いの中で分かったのは、双方が深刻な状況にあるということである。このままではどうしようもないので、一緒になってPRしていこうという流れになっている。
先進国並みに図書館を整備する一方で、知的所有権でもある--英国図書館のパンフレットに「公貸権は知的所有権の一部である」とあった--公貸権を設けていただきたい。

[次項に続きます]

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パネルディスカッション(1):「文字・活字文化振興法」シンポジウム(7)

次は、シンポジウム「今なぜ文字・活字文化の法律なのか」です。
例によって発言の正確さは保証しませんから、細かい揚げ足取りなんかには使わないでくださいね。
(もっと正確なのは後日読売新聞やYomiuri Onlineの「21世紀活字文化プロジェクト」のページなんかに掲載されるでしょうから、そちらをご参照ください。)

○ パネルディスカッション「今なぜ文字・活字文化の法律なのか」
パネリスト:河村建夫(前文部科学大臣、衆議院議員)、小峰紀雄(日本書籍出版協会副理事長、小峰書店社長)、鈴木恒夫(活字文化議員連盟代表幹事、衆議院議員)、肥田美代子(活字文化議員連盟事務局長、衆議院議員)、松本侑子(作家、日本ペンクラブ理事・広報室長)
コーディネーター:児玉清(俳優)

児玉:読書しない人が50%以上いることや、OECD調査などの現状をどうお考えか?
鈴木:私は昭和38年に早稲田大学政治経済学部新聞学科を出て毎日新聞に入り、15年間記者をしてこの世界に入った。このように、書き言葉を中心に青春時代を過ごした者として、国語教育の重要さは念頭に置いている。最近では親が子を殺しても、子が親を殺しても、ベタ記事にしかならない。これは日本社会の乱れを示している。
経済市場原理主義、ジコチュー、大衆迎合・・・日本の文明文化の崩壊を目の当たりにしている。山本有三は30年前から教育の大事さを言ってきた。臨教審のゆとり教育の答申から20年、オウム事件の中心人物は東大などの難関大学を出た者だった。OECDで結果が出ると、ゆとり教育の見直しを言い始める・・・。軽薄な議論だ。
そんなときに何としても作り上げ、崩壊したものを建て直したい。

児玉:法案にかける熱い思いを。
肥田:子どもの本を書いていた30数年前から、子どもの本のスペースが1センチずつ小さくなっている。このことからとっくに本離れや活字離れが進んでいる。でも子どもは本が好き。だけど、本が無いから手が届かない状況になっているだけである。学校図書館は開かずの間で、親も本を読まず、学校でも勧めない。子どもの本離れは当然のこと。私は、子どもに手が届かないことが原因だと考える。
学校図書館整備5ヵ年計画が1992年に出て、学校図書館法の改正、国会決議、国際子ども図書館の設立、子どもの読書議員連盟の設立、推進議員連盟の設立と進んできた。「超党派」「政官民の協力」これが大事で、この10年は実りある10年だと思っている。
朝の読書運動は18,000校で行われ、地域の読み語りやブックスタートも行われ、この流れを大きなうねりにするか小さな流れにするかの正念場となっている。

児玉:現状をどう捉えているか。
松本:作家となって18年。これまで50冊以上本を出している。この法律は、書き言葉だけで生活する者としてとてもすばらしいと思う。感謝している。
出版界の現状は苦しいものとなっている。書店の倒産は1000件以上で、売り場の面積は変わらないが、身近なところの書店が無くなっている。
また、日本の文化・芸術・学術の出版社の経営も悪化している。出版物の売り上げも減少している。
一方で新古書店は都内の各駅にも増えている。読まれるのはいいが、書き手には何も入らないし、書店も大打撃となっている。読み手の人の運動もありがたいが、良質の本を生み出す力が失われている。
また、レンタルブック店がどんどん広まっている。そこで昨年、貸与権を認める法律ができたが、条件で折り合いがつかず、結局未払いのままスタートしている。
図書館の所蔵冊数は、ヨーロッパの水準に達していない。図書館の整備をしてほしいと思う。しかし、10年前に2億冊だった貸出件数が、今では6億冊となっている。このことは、あるいは出版業界に経済的損失を与えているのではないかと思う。

児玉:この法案への熱き思いを。
小峰:より高い日本語を高めるためには読書の質を高めることが必要。同時にメディアリテラシーの観点も出てきた。活字出版文化の基礎としているのは学術専門書や教養書や児童書などである。今は専門性の高い出版物ほど苦しい。これは活字出版文化の衰退を意味している。主要な原因の一つに、出版物が容易に複写されるという問題がある。現在、出版者の権利が規定されていない。したがって、出版者の権利の確立が必要と思う。また、再販制度の維持が必要である。活字出版、読書環境の整備の充実、図書館や学校図書館の整備が必要と考える。

[次項に続きます]

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基調講演(2):「文字・活字文化振興法」シンポジウム(6)

山崎正和氏による基調講演の続きです。
例によって発言の正確さは保証しませんから、細かい揚げ足取りなんかには使わないでくださいね。
(もっと正確なのは後日読売新聞やYomiuri Onlineの「21世紀活字文化プロジェクト」のページなんかに掲載されるでしょうから、そちらをご参照ください。)

(続く)
・この法案は、まことに時宜にそったものである。国家の教育にとって最も大事な法律と考える。
・国家が個人を教育した歴史はそんなに長いものではなく、百数十年の歴史でしかない。それ以前は、親や職場、寺子屋などで教育を受けていた。
・国家が国民に与える教育には、まったく異なった2つの要素がある。ひとつは「統治行為」で、警察や裁判所があるのと同じである。国民が文字を知らなかったら、よい政治をしたくてもその方法がなくなる。話にならない。もし言葉がバラバラなら、それは社会とは言えなくなる。「1+1=2」という単純な論理の共通性がなければ、社会は成立しない。したがって、最低限の良識を共有しなければならない。したがって、国家は国民に教育を強制できるのである。日本人なら日本語を覚えてくださいよ、そういうことで、義務教育・強制教育を施している。9年間という期間は時代とともに代わってくるし、その中身も大きな議論の種になっている。
・2つめは、国民一人ひとりが自己実現していくための援助である。
・日本語の文法を教えるのは義務教育だが、文学を教えるのは強制にはなじまない。こちらは、自由に個人に選択させながら、それを援助するという方法である。それがやがて回りまわって社会の得になる。優れた発明や芸術作品が生み出されるなどして。この2つめのものは、「サービス」である。
・この2つの要素の線をどこで引くかは問題である。近代化前の日本の教育では、食事前に手を洗うことを教えていた。そうしないと伝染病が流行り、国家の損失となるから、教育する方が安上がりなのである。ところが今や、義務教育に入れる必要はなさそうである。このように、義務の中身はずいぶん変わっていくが、絶対に変わらないのは日本語である。
・国語が成立していない国、例えばアフリカでは何百もの言語があり、インドでは何十もの言語があるが、それらの国の政治のあり方としては難しいものとなっている。したがって、国家は国民にきちんとした日本語を教える権利があり、国民には教わる義務があるのである。
・言葉の本質は「書き言葉」である。話し言葉を育てると書き言葉になるとか、話し言葉を乾燥させると書き言葉になるという意見もあるが、そうではない。
・話し言葉は、話すことで「効果」を与えるために存在する。しかし、もっと効果的なのは、なぐったり、何かを差し出すことである。アントニーがシーザーの死骸を見せたら聴衆が興奮したように、モノを見せるのが一番効果的である。効果が最も優れているのは、しぐさや表情やモノである。
・書き言葉は、自分の気持ちをきちんと組み立てて整理し、相手の解釈に委ねる。そして誤解があれば、書き手が責任を負う。
・民主主義は、民衆を政治家が操作するのではない。手法としてはよいが、全体としてそうされては困る。自分の考えを提示し、じっくり考えてもらって解釈させるのがよい。
・したがって、書き言葉を国民に身につけてもらうことを強制するのは当然のことである。読まないのは読まなくていいような教育をするからそうなるのである。戦後の作文教育は、「何でもいいから思ったことを自由に書きなさい」と教えた。ところが子どもは、「モノの思い方」を知らない。思うためには「道具」が必要である。これが「言葉」である。同じ風景をみて、「夕暮れ」と表現するか「たそがれ」と表現し分けるには、「夕暮れ」「たそがれ」が違うことを知ることが大事である。すなわち、道具を使ってモノを感じるようになるのである。
・最初は強制になる。道具を与えないで野球をさせてはケガをする。強制するのは国民の利益になる。人生の大部分の技術は、強制によって得るものである。楽しくなるには時間がかかる。音楽や野球も、楽しくなるのは時間がかかる。まして日本語おいてをやである。
・日本は考え方の多様性について寛容である。宗教にもそうである。もはやイデオロギーの時代は過ぎた。国民は自分の物差しで計る。すると多様な文化がある。多様な国民を統合するのは何か。宗教やイデオロギーという国もあろうが、日本はそうではない。言葉である。
・そう考えたとき、この法律は時宜にかなったというよりおそらく遅きに失した感がある。超党派で決めていただいたのはありがたいことである。(以上)

[パネルディスカッションに続きます]

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基調講演(1):「文字・活字文化振興法」シンポジウム(5)

次は、山崎正和氏による基調講演です。
例によって発言の正確さは保証しませんから、細かい揚げ足取りなんかには使わないでくださいね。
(もっと正確なのは後日読売新聞やYomiuri Onlineの「21世紀活字文化プロジェクト」のページなんかに掲載されるでしょうから、そちらをご参照ください。)

○基調講演「活字文化と民主主義」 山崎正和(劇作家、東亜大学学長)
・シェイクスピアの戯曲の中で唯一、「ジュリアス・シーザー」が政治、民衆の政治をテーマとした。シーザー暗殺後、山場に入り、市民を集めて演説会が行われる。ブルータスとアントニーが演説をする。大衆に訴える話言葉としては世界的に傑作だと思っている。この演説は非常に有名なものである。
・この演説は、本質は書き言葉であるが、舞台では話し言葉であるかのように書いている。ここでシェイクスピアは、話し言葉の怖さを例証してみたのである。
・ブルータスは、自分がどんなにシーザーを愛しているのかを演説した。そして、独裁者になったから殺した、私も独裁者になったら殺してくれ、と言うと、群集は「そうだそうだ」とはやし立てた。
・次のアントニーの演説も名演説。私はシーザーをかばうつもりも指摘するつもりもない。しかし考えてみてくれ、シーザーはこれだけ我々によいことをしてくれた、というと、群集は「そうだそうだ」と興奮する。そして最後に、「これを見てくれ。この傷はブルータス!」と、シーザーの死骸を見せながら言うと、群集は「ブルータスは人殺し!」と叫ぶ。そしてシーザーの遺書を見せ、「遺産は市民のものになる」と言う。すると群集は、「ブルータスを殺してしまえ」・・・となって、おしまいである。
・ここで示されていることは、人々の感情を煽動する政治である。人々にじっくり考えさせずに興奮させ、賛同を求める、少しも余裕を与えずに・・・。そして最後には、言葉ではない。それを見せると興奮する。
・こういう政治的技法は時には必要と私も思う。民主主義の政治においては避け難い。ただ、唯一の方法として傾くとどうなるかを示したのである。
・恐ろしいファシズムのリーダーであるヒトラーは、ラジオで絶叫して興奮させた。今聞くとどうということもないが、ラジオというメディアが目新しかったことと、当時の社会情勢のもとにおけば、興奮したのだろうと思う。
・リンカーン大統領のゲティスバーグの演説は、実は短いものである。あの文章は、書き言葉で書き、それを覚えて演説したものである。政治的リーダーの演説は慎重に書かれる。専門家によって書かれ、大統領が読む。これは書き言葉で後世に残る。のみならず、受け取り手の心にも大きな変化を起こさせる。
・話し言葉は1対1のやりとりで、聞き手を1人にしない。その場で賛同を求め、意思形成を行わせる。これが話し言葉による民主主義であり、しばしばポピュリズム(民衆煽動主義)に陥りがちで、ファシズムにもなる。
・書き言葉はそうではない。書き言葉にするためには順序、段落を考え、どんな筋道で進めるかの意識に半分以上移っている。
・これが民主主義とポピュリズムを分けるものである。いったん1人にする、考える時間を与える、これが民主主義である。書き言葉は読み返して批評できる。読み返してみると8割賛成だが2割はどうだか、ということもわかるし読んでみると雑駁だということもわかる。これが本当の民主主義である。したがって、書き言葉が民主主義の根底であると考える。

(この項続きます)

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趣旨説明・来賓あいさつ:「文字・活字文化振興法」シンポジウム(4)

またまた続きです。
今回は、シンポジウムの基調講演までの概要をお知らせします。
例によって発言の正確さは保証しませんから、細かい揚げ足取りなんかには使わないでくださいね。
(もっと正確なのは後日読売新聞やYomiuri Onlineの「21世紀活字文化プロジェクト」のページなんかに掲載されるでしょうから、そちらをご参照ください。)

○法案趣旨説明 河村 建夫(前文部科学大臣、衆議院議員)
・ このシンポジウムは、広く国民への理解を広めるために開いた。これまで寄せられた意見でも「国民運動でもよいのでは?」というものがあったので、このためにも説明しなければならないと思った。
・ これまで「子どもの読書活動の推進に関する法律」や「文化芸術振興基本法」などの類似法があり、名前をどうするかで苦労した。また、これらの法律でも活字文化振興の内容が盛り込まれているため、これらの法律と重複しない、これらの法律では保護できない内容として、文字・活字文化の基盤整備を行うということを目的とした。
・ また、これに類する法律についても法制局等でお調べいただいたが、どうもないようである。逆に言うと、日本の文字・活字文化の振興について、国際社会にアピールできることにもなる。
・ それと、子どもの読書離れを食い止めることへのアピールにもなり、また、読書離れに関心が集まり、歯止めにもなるのではないかと評価している。
・OECDの2003年調査で子どもの学力が2000年よりも落ちた。順位だけでなく、OECDの平均にまで落ち込んでいる。そして、思考力についての指摘がなされている。このため、活字文化の振興が必要となる。
・考えるのは日本語の豊かさである。日本語で熟知するためには、書籍・雑誌・新聞などの文字・活字にしっかり触れることが大事であり、享受する機会を与えなければならない。
・最近では英語力を高めるべきという意見もあるが、その根底には日本語がある。
・出版・言論の自由を前提として出版支援を考えている。専門書の出版が困難になっているため、具体的に支援可能なものを文科省に知恵を出させている。
・文字・活字文化振興法の制定とともに個別法の改正も必要となる。また、財政面の裏づけについても関係省庁を叱咤激励している。

○ 来賓あいさつ 河合隼雄・文化庁長官
・今は文字・活字文化が当然のことではなくなっている。文字・活字文化について、もう一度考え直さなければならない。ケルト文明は自然との豊かな関係があったが文字はなかった。日本は自然との深い関係も持ちながら文字も持っていた。それが文明から映像が出てきたため、文字がわからなくなってきている。映像は「わかった気にさせる」ものなので、文字に帰ってゆっくり考えてみよう、ということだ。朝の10分間の読書も効果があったと思う。

(次回は基調講演の様子を・・・)

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図書館関係者が不在なのは?「文字・活字文化振興法」シンポジウム(3)

またまた続きです。
もう一つ気になったことは、この振興法の内容からすると、パネルディスカッションの壇上には公共図書館や学校図書館の関係者がいなければならないはずですが、壇上にいるのは議連の先生方と書協の副理事長さんと、公貸権一筋のペンクラブ広報室長さん・・・。コーディネータの児玉清さんが「ディスカバー図書館」つながりで図書館関係者ってことだったりして(笑)

児玉さんから「この法案にエールを」という質問が議員以外の両者になされましたが、そういう質問は図書館関係者にこそ向けられるべきものですし・・・。

議連の先生方には図書館関係者のことなんて眼中にないんでしょうか?
それとも図書館界の影響力の低さを物語るのでしょうか??

いち図書館員として悲しむべき状況でした。
日図協さんや学図協さん、もう少しがんばってくださいね~!(と自戒を込めてエールを送りますです・・・)

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公貸権の新たな動き?(2)「文字・活字文化振興法」シンポジウム(2)

続きです。

このシンポジウムでは、以下の資料が配られていました。
・シンポジウムの次第書き
・活字文化議員連盟役員名簿
・文字・活字文化振興法案(骨子案)
・文字・活字文化振興法の施行に伴う施策の展開
・1枚両面刷の資料(OECDの調査概要、一ヶ月の読書量を示す表、朝の読書活動に取り組む学校の割合の表など・・・)

この中で、法案の骨子案と「施策の展開」は、4/1付けの読売に出ています。
また、肥田美代子議員のウェブサイトにも出ています。

・文字・活字文化振興法案(骨子案)
・文字・活字文化振興法の施行に伴う施策の展開

これらの資料は、3/31の活字文化議員連盟の総会で配布された資料とのことです。

ところが、このシンポジウムで配られた資料と、ただ一点だけ異なる箇所が!

それは、「文字・活字文化振興法の施行に伴う施策の展開」の「③ 出版活動への支援」の上から3つ目の項目です。

3/31提出の資料では、「・版面権の創設(出版者の固有の権利)」となっていますが・・・。
この日の配布資料では、「・著作者及び出版者の権利保護の充実」となっています。

あれ?4月1日から4月11日までの11日間のあいだに、「著作者」の権利保護の充実、すなわち公貸権制度が”もぐりこんだ”のでしょうか・・・??

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公貸権の新たな動き?(1)「文字・活字文化振興法」シンポジウム(1)

4/10の記事で紹介させていただきました「文字・活字文化振興法」シンポジウムに昨日行ってまいりました。
読売新聞の本日(4/12)付け朝刊33面にも記事が掲載されていました(他の主要紙には掲載なし)。

Yomiuri Onlineの記事

このシンポ、山崎正和氏の「活字文化と民主主義」という基調講演もとてもすばらしかった(「国家は日本語を教える権利があり、国民は日本語を教わる義務がある」というくだりには少しゾッとはしましたが、書き言葉と話し言葉の違い、書き言葉によって政治をしなければならないという主張にはうなずけました。まるで山崎氏のエッセイを読んでいるような完成度の高さに、さすがは劇作家!と思いました)ですし、後半のシンポジウムの内容もとてもよかったのですが・・・ひとりだけ異端児(?)がいらっしゃったのが残念。

それは、作家であり(18年間作家をなされているとか)、かの日本ペンクラブ広報室長であります、松本侑子氏です。松本氏はひたすら「公共貸与権」の創設を訴えかけるばかりで、この法案のことについては一言も触れていませんでした。

しかも・・・「コミックレンタルショップがどんどん増えてます」「先進国では公貸権を導入しています。現在では30ヶ国が導入しています」など、「ホンマかいな?」と思われるコメントを連発。

コミックレンタルショップはどんどん増えるどころか、昨年12月31日には大手レンタルチェーン店が閉店しているんですけど・・・。
先進国でもアメリカやイタリア、スペインなんかでは公貸権は導入していませんけど。また、いくら多く見積もっても20数カ国しか公貸権は導入されていませんよ。カナダやイスラエルなんかは法制度にすらなっていませんよ。イスラエルやニュージーランドでは予算が足りない足りないって状態らしいですけど・・・。

あと、「公立図書館貸出実態調査」の結果を引いて、「鉄道屋」が1年間で70万冊も借りているなんてことをおっしゃっていましたけど、あの「図書館提供率」が本当に貸出し冊数の実態を示しているのかはけっこう怪しいってことになっていたんじゃなかったでしたっけ?
それに、図書館で借りる人が必ずしも買う人と一致するとはいえないってことは、ご存知ですよね?

あと、「日本図書館協会さんにお調べいただいた調査の結果」とかおっしゃっていましたけれども、あれは日本書籍出版協会と日本図書館協会の共同調査で、両当事者が一緒に調査をしたということがあの調査の成果なんじゃなかったんですか?

それから、日本推理作家協会は、公貸権の導入に否定的なんじゃなかったでしたっけ?あたかも作家がすべて公貸権の導入を希望しているようなニュアンスで主張をするのはどうなんでしょうか。

日本推理作家協会が文化審議会著作権分科会への法改正要望
※このpdfファイルの35ページ目(項目(82))にあります。
この中で「公貸権の導入に当たって、国や自治体に補償金等の財源を求めるものは、金額的にあまり実効があがらぬ恐れがあるほか、手続き的にも繁雑な作業が予想される。それよりは、貸出実績データにしかるべき利用率を掛け合わせ、算出された公貸権料を著作権者の所得税の控除対象にする、という方式がより実務的と思われる」と述べています。

読売新聞がこのシンポの紹介記事に公貸権のことを一言も触れていないのもわかるような気がします・・・。

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活字議連シンポ、明日(4/11)開催!

以前にも紹介しましたが、活字文化振興議員連盟のシンポジウム、いよいよ明日(4/11)の午後3時に開催です。

場所は憲政記念館で午後5時まで。東亜大学学長の山崎正和教授による「活字文化と民主主義」と題する基調講演と、「今なぜ振興基本法なのか」と題するパネルディスカッションが予定されています。

・・・しかし、2時間しかないのに基調講演とパネルディスカッションをやるっていうのもちょっと詰め込み過ぎな感じもしないでもありません(パネルでの質疑時間を考えても、基調講演もパネルもだいたい45分程度?)。

このシンポで骨子案とか3点セットとか配ってくれないのかなぁ・・・。
あと、どなたか質問で「版面権っていうのはどういうこと?」とか、「公貸権はなぜ入れなかったのですか?」とか聞いてくれたら、このブログの格好のネタになるのになぁと思ったりして。
(とくに後者は、推進派であるペンクラブの松本さんもいらっしゃることですし、一悶着あるかも・・・)

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文字・活字振興基本法案について

これも、G.C.W氏のブログで紹介があった記事です。

活字文化振興は国の責務(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20050331ur21.htm

この記事によりますと、活字文化振興議員連盟という超党派の議員連盟が、いま流行りの議員立法の一つとして、文字・活字文化振興法(仮称)を今国会で制定することを目指して活動しているとか。

そして、この法案の骨子において、公共図書館の振興を図るための諸施策の実施を国・地方自治体に義務づけるのだとか。

そして、この記事の続編となる記事が、2005年4月1日付けの読売朝刊の3面と5面に掲載されていて、その骨子案の全文が掲載されていました。(これはなぜかネットには掲載されていません)

そして、そこには、あの「版面権」の創設が!
いやぁ、油断なりませんねぇ。
版面権がこんなところに顔を出すとは・・・。この法律は単なる基本法なのでこの法律の条項によって版面権が法制化されることはあり得ないのですが、知財推進計画2004のような単なる計画レベルではなく、法律レベルで版面権制定を国の義務とすることになると、これはいよいよ版面権制定にますます近づくことになります。

これは注視しなければなりませんねえ。
4/11に憲政記念館でシンポジウムが開かれるらしいので、ご関心のある方はぜひ。

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