著作権法第37条第3項適用施設の告示がまたまた。

こんばんは。
先日、またまた著作権法第37条第3項適用施設に関する文化庁告示が出されましたので、後々のために挙げておきます(官報がウェブで1ヵ月経つと消えてしまいますんで)。
ただ、今回の指定はすべてNPO法人等の障害者サービス団体なので、この前のようなハテナな感じはありません(まぁ函館視覚障害者図書館っていうのは少々ハテナではありますが)。全視情協さんが指定手続をバックアップされていると聞きますが、大したもんです。
以下の4件です、

〇文化庁告示第五十一号
 著作権法施行令(昭和四十五年政令第三百三十五号)第二条第一項第二号に基づき、著作権法(昭和四十五年法律第四十八号)第三十七条第三項の視覚障害者等のための複製又は自動公衆送信が認められる者として、次に掲げる者を平成二十二年十一月二日付けで指定したので、同令第二条第二項に基づき告示する。
   平成二十二年十一月十八日    文化庁長官 近藤 誠一
 特定非営利活動法人函館視覚障害者図書館

〇文化庁告示第五十三号
 著作権法施行令(昭和四十五年政令第三百三十五号)第二条第一項第二号に基づき、著作権法(昭和四十五年法律第四十八号)第三十七条第三項の視覚障害者等のための複製又は自動公衆送信が認められる者として、次に掲げる者を平成二十二年十一月二十二日付けで指定したので、同令第二条第二項に基づき告示する。
   平成二十二年十二月六日      文化庁長官 近藤 誠一
 特定非営利活動法人にじの会

○文化庁告示第五十四号
 著作権法施行令(昭和四十五年政令第三百三十五号)第二条第一項第二号に基づき、著作権法(昭和四十五年法律第四十八号)第三十七条第三項の視覚障害者等のための複製又は自動公衆送信が認められる者として、次に掲げる者を平成二十二年十一月二十二日付けで指定したので、同令第二条第二項に基づき告示する。
   平成二十二年十二月六日     文化庁長官 近藤 誠一
 特定非営利活動法人デイジー枚方

〇文化庁告示第五十五号
 著作権法施行令(昭和四十五年政令第三百三十五号)第二条第一項第二号に基づき、著作権法(昭和四十五年法律第四十八号)第三十七条第三項の視覚障害者等のための複製又は自動公衆送信が認められる者として、次に掲げる者を平成二十二年十一月二十二日付けで指定したので、同令第二条第二項に基づき告示する。
   平成二十二年十二月六日     文化庁長官 近藤 誠一
 財団法人名古屋キリスト教女子青年会

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また著作権法第37条第3項適用施設の文化庁長官指定の告示が出ました。(10/8付け)

おはようございます。
先日、著作権法第37条第3項適用施設の文化庁長官指定の告示が出たことを紹介いたしましたが、また同趣旨の告示が出ましたので、紹介します。
(こういうことをやっておかないと、あとで調べるのが大変なもので...何で文部科学省HPの「告示・通達」のページに掲載されないのかわからないのですが...告示を出したら全部ここに掲載してくれればいいのに)

それで、今度指定されたのもまた興味深い施設でして...それが、「堺市立点字図書館」なのです(厳密にいえば大阪府堺市なのですが)。前回の愛知県図書館とよく似た感じです。

私は、これまで、「点字図書館」と名がついていれば、すべて〔改正前の場合でも〕著作権法第37条第3項が適用されるものと思っていました。だって、改正前の著作権法第37条第3項って、「点字図書館その他の視覚障害者の福祉の増進を目的とする施設で政令で定めるものにおいては、....録音し、又は...自動公衆送信を行うことができる」って書いてあったので。

もっとも、「その他の」とあるので、「点字図書館」という名称はあくまで例示であって、実際にはその後に続く「政令で定めるもの」に該当する必要があるわけですが...って、これって法制執務の教科書みたいですね〜。「その他」と「その他の」の使い分けの例示として使えるんじゃないですか?

それはいいとしまして。
堺市立点字図書館って、何で著作権法第37条第3項(いい加減面倒になったので、以下「37条3項」って言いますね)適用施設じゃないんですかね。

それは、この「政令」っていうのを参照してみればよいということで、著作権法施行令第2条を見ることになる訳です。改正後の同条において、当てはまりそうな条文は...。第1号の「ニ」ですね。「身体障害者福祉法(昭和24年法律第283号)第5条第1項の視聴覚障害者情報提供施設」ってヤツ。

ちなみに改正前(第2号)は、このあとに「点字刊行物及び視覚障害者用の録音物を視覚障害者の利用に供するもの並びに点字刊行物を出版するものに限る」っていう文章が続いていたのですが(厳密にいうとこのあと設置主体を限定する文章がありましたが、改正後は第1号の柱書きに同じ文章が書かれていますので、省略しました)。つまり、改正前では視聴覚障害者情報提供施設の中でも視覚障害者向けのサービスを行っているところに限定していたっていう訳です。

こんな書き分けが必要になったのは、平成2年の身体障害者福祉法の改正(平成2年法律第58号)で、「点字図書館及び点字出版施設」を「視聴覚障害者情報提供施設」に改め、「身体障害者更生支援施設(現行法では「身体障害者社会参加支援施設」)」の範囲に、聴覚障害者用の情報提供施設を加えたからなのですが...。それがこの法改正で、別に視覚障害者でなくても視覚による表現の認識に支障がある人なら、聴覚障害者であっても、デイジーを貸し出すために作ってもいいよ、ということになったので、平成2年のこの法改正をいわば後追いする形で、政令の改正が行われたってわけです。

それで、堺市立点字図書館って、改正前から「点字刊行物及び視覚障害者用の録音物を視覚障害者の利用に供する」施設なんじゃないの?現に、堺市立点字図書館条例(昭和47年3月30日条例第12号)の第1条には「点字刊行物の貸出し及び閲覧事業を主たる業務とし、併せて点訳奉仕事業の指導育成、点字図書の奨励及び相談事業を行うため、堺市堺区南瓦町に堺市立点字図書館(以下「図書館」という。)を置く」って書いてあるじゃないですか。(もっとも、この第1条は何回か改正されていますが、最終改正が平成17年なので、少なくともこの年からは要件に当てはまっているような気が)

ううむ、ということで、もう一回身体障害者福祉法に当たってみると、第5条第1項の他に、視聴覚障害者情報提供施設の定義自体が置かれている規定がありました。現34条(以前は33条。それ以前は点字図書館が33条で点字出版施設が34条に規定)です。そこには、「無料又は低額な料金で、点字刊行物、視覚障害者用の録音物、聴覚障害者用の録画物その他各種情報を記録した物であつて専ら視聴覚障害者が利用するものを製作し、若しくはこれらを視聴覚障害者の利用に供し、又は点訳(文字を点字に訳すことをいう。)若しくは手話通訳等を行う者の養成若しくは派遣その他の厚生労働省令で定める便宜を供与する施設とする」とありましたが、これ、さっきの堺市点字図書館の設置目的も含まれるような気が。

とすると、やっぱりおかしい。この法律ではまちがいなく堺市立点字図書館は、視覚障害者情報提供施設の要件に当てはまっているんですからね。

でも何か他に...と、周辺の条文を点検していくと、設置の規定というものがありました。第28条第2項に、「市町村は、あらかじめ厚生労働省令で定める事項を都道府県知事に届け出て、身体障害者社会参加支援施設を設置することができる」ってありました。すなわち、都道府県知事に届け出て初めて、この法律にいう「身体障害者社会参加支援施設」となることができるってわけです。(前後してすみませんが、視聴覚障害者情報提供施設は身体障害者社会参加支援施設の一つです。著作権法施行令2条1項ニで引用する同法第5条第1項の規定というのは、身体障害者社会参加支援施設の範囲を定める規定なのですが、そこに視聴覚障害者情報提供施設が含まれているのです)

それでは、なぜ届けていないんでしょうか。届けたら、運営費用の半分(10分の5)を国が負担してくれる(第37条の2第1号)のに...。教育委員会管轄にしたかったから?と思ったのですが、総合社会福祉会館に同居しているってくらいですから、そんなこともなさそう。

とすると、第29条には、厚生労働大臣にこの施設の設置基準の制定を義務づけていて、第2項では社会福祉法人なんかはその基準を守らねばならないってことが書いてあるみたいですね。それでは市町村の場合は守らなくても良いのかというと、そんなことはなさそうでして、社会福祉法では、社会福祉施設(視聴覚障害者情報提供施設は第二種社会福祉施設に該当します)の設置者は、この最低基準を守らなければならないのです。

となると、堺市立点字図書館は、この最低基準を満たさない規模の点字図書館ってことになるのかもしれません。

この基準は、厚生労働省令として制定されています。身体障害者社会参加支援施設の設備及び運営に関する基準(平成15年3月12日厚生労働省令第21号)です。視聴覚障害者情報提供施設については、第5章で定められていて、点字図書館の場合は、様々な設備(第35条)、一定数以上の職員(第38条)、施設長の資格要件(第41条。司書又は社会福祉事業としての一定年数の従事歴が求められます)が定められています。

ひょっとしてこれを満たすのがキツいのかも、と思ったりして。
何か図書館法の図書館になるのをわざわざ避ける図書館っていうのと類似しているような気も。もっとも、公共図書館の方は早々と資格要件も補助金もなくなってしまったわけですが。

でも、こういうことでしたら、該当しない点字図書館ってたくさんあるような気が。
法改正のときにはこういう施設には目配りなかったのでしょうか。あえて外したとか。一定の水準を満たさない点字図書館の場合は権利制限の恩恵なんて受けさせなくてもよい、とか?ううむ。

あ、前置きが長過ぎましたね。
告示本文を以下に掲載します。ご参考まで。(平成22年10月8日付け官報本紙p.7に掲載)

〇文化庁告示第四十四号
 著作権法施行令(昭和四十五年政令第三百三十五号)第二条第一項第二号に基づき、著作権法(昭和四十五年法律第四十八号)第三十七条第三項の視覚障害者等のための複製又は自動公衆送信が認められる者として、次に掲げる者を平成二十二年九月二十八日付けで指定したので、同令第二条第二項に基づき告示する。
   平成二十二年十月八日                  文化庁長官 近藤 誠一
 堺市(ただし、堺市立点字図書館が実施する業務に限る。)

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著作権法第37条第3項適用施設の告示が出ました(8/25付け)が...

お久しぶりです。
昨年の著作権法の改正(平成の大改正、と呼び習わされているそうですが)で、視覚障害を持つ方々などの、視覚からの情報認識が難しい方々に対する表現方法の変換が大幅に拡張され、また、この変換を行える施設の範囲が大幅に広がった(図書館などにまで)ことはご存知のとおりかと思います。

ただ、視覚障害者向けの社会福祉施設や公共図書館、大学図書館、学校図書館、国立国会図書館などではない施設がこの条文に基づき無許諾で変換を行おうとする場合には、文化庁長官の指定を受けなければならないことになっています。

それで、平成22年4月9日付け文化庁告示第15号で、リハ協など計5施設が指定されたわけですが、同じ年(=今年)の8月25日付けの文化庁告示第43号というものが出され、新たに、何と愛知県図書館が指定されたというのです!

あれ?愛知県図書館は公共図書館じゃないの?と思うと思うのですが、ここにいう「公共図書館」とは、「図書館法第2条第1項の図書館」のことなので、愛知県図書館はこれに当てはまらないらしいのです。
(愛知県図書館は、その前身が文化会館の図書室というくらいで、いわば公民館図書室の巨大版、といった位置づけのようなのです)

なるほど、これは面白い、それじゃナゼ著作権法第31条第1項第1号に基づくコピーができるのか、といいますと、こちらの方は、図書館法第2条第1項の図書館でなくても、「図書、記録その他著作物の原作品又は複製物を収集し、整理し、保存して一般公衆の利用に供する業務を主として行う施設で法令の規定によつて設置されたもの」であれば、適用することができることになっているからなのです(著作権法施行令第1条の3第4項)。

今度の37条3項適用施設の場合は、この規定がない(著作権法施行令第2条を参照)ので、個別指定が必要になった、そういうことのようです。

とすると、聞くところによりますと、1990年代から図書館法に基づかないで設置された図書館って増えてきた(あるブログによると奈良県立図書情報館さんも??)ってことなのですが、これらの図書館も37条3項を適用しようとしたら文化庁長官の指定を受けなければならないことに...ううむ。

8月25日付けの方はまだネット上で全文掲載されていないようですので(官報DBの方はすでに削除済み)、以下のとおり掲載しておきます。


○文化庁告示第四十三号
 著作権法施行令(昭和四十五年政令第三百三十五号)第二条第一項第二号
に基づき、著作権法(昭和四十五年法律第四十八号)第三十七条第三項の視
覚障害者等のための複製又は自動公衆送信が認められる者として、次に掲げ
る者を平成二十二年八月十一日付けで指定したので、同令第二条第二項に基
づき告示する。

    平成二十二年八月二十五日      文化庁長官  近藤 誠一

 愛知県(ただし、愛知芸術文化センター愛知県図書館が実施する業務に限
 る。)

あと、4月9日付けの告示の方も、リハ協HPなどで閲覧できますが、まとめて見れた方が便利でしょうから、ここにも掲載しておきます。

〇文化庁告示第十五号
 著作権法施行令(昭和四十五年政令第三百三十五号)第二条第一項第二号
に基づき、著作権法(昭和四十五年法律第四十八号)第三十七条第三項の視
覚障害者等のための複製又は自動公衆送信が認められる者として、次に掲げ
るものを平成二十二年四月一日付けで指定したので、同令第二条第二項に基
づき告示する。

   平成二十二年四月九日        文化庁長官  玉井 日出夫

特例民法法人日本障害者リハビリテーション協会
特定非営利活動法人ロバの会
特定非営利活動法人奈良DAISYの会
特定非営利活動法人点訳・音声訳集団一歩の会
特例民法法人伊藤忠記念財団

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コピライト2010年1月号に平成21年改正の解説記事がついに掲載!

以前のブログで、平成21年法改正の解説記事が本来なら10月号に載る予定だったのが越年になりそう、って書いたのですが・・・

「『コピライト』誌のH21著作権法一部改正法の解説、越年になります!」
http://gomame.cocolog-nifty.com/library_copyright/2009/11/h-7879.html

で、1月号が発行されたので早速手に取ってみたら、おぉ!あるじゃないですか〜。

コピライト1月号の目次は、以下のURLからどうぞ。
http://www.cric.or.jp/book/copi.html

(来月になるとこっちに移ると思います)
http://www.cric.or.jp/book/library3/copy_bn.html

いやぁ、さすが平成の大改正(@山下前課長)だけあって、記事が30ページも!(pp.21-50)
締切の関係もあり、残念ながら政省令や告示の内容は掲載されていませんが、それを補って余りある内容です。特に、文言どおりに読むと萎縮してしまうような事例につき、きちんと「いや、この場合は適用されますよ」と解説されているのが好感度大です。もはや権利制限規定を厳格に解釈するということは過去のことになっているのかもしれません。

例えば・・・。

「なお、上記のとおり、対象となる著作物は「視覚によりその表現が認識される方式により公衆に提供され、又は提示されているもの」となっているため、例えば、本項の規定によって録音物を作成した場合、当該録音物自体は聴覚により認識される形のものであって視覚により認識される形の物ではないとの理由で、本条の規定によりこれを増製することが可能なのかという点が問題となりうる。この点については、本項は、対象となる著作物を限定しているものの、その著作物を具体的にどの複製物を原本として複製するかまでは限定していないため、最初の録音物等の作成が本項の規定により適法に行える限り、その後の増製も同様に認められることとなる」(p.30)

「また、ここでいう「当該方式による公衆への提供又は提示が行われている場合」については、先に述べたただし書の趣旨から、ごく少部数しか販売されていないなど実質的に障害者が入手困難な場合まで含むものではない、と解することが適当である」(p.30)

「当該外国語の書籍について外国語で朗読した録音物が公衆に提供・提示されていても、このただし書の「当該方式」の意味は上記のとおりであるから、日本語で朗読した録音物が公衆に提供・提示されていない限り、このただし書との関係では、日本語に翻訳して録音することができるものと解される」(p.30)

いずれもこの記事中で触れられていなければ、行うことを控えそうなものばかりですよね?

そういうわけで、機会があれば、ぜひご一読を。

【追記】
・タイトルが思いっきり誤植...平成21年改正の解説記事が2009年1月号に載るはずがない、というわけで、タイトルの「2009年1月号」を「2010年1月号」に訂正しました。

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西日本新聞の投稿記事

西日本新聞に写真家の島尾伸三さん(「女子高生ゴリコ」の作者のしまおまほさんのお父さんでもあります)が、H21著作権法改正による37条3項の改正について触れた投稿をされていました。

島尾伸三「録音図書 多くの人に恩恵を(本の森)」西日本新聞H21.11.15
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/book/column/20091115/20091115_0002.shtml

この投稿の興味深いところは、録音図書を健常者が利用できるようになる、ということを強調なされていることです。

もちろん「健常者」と言っても、「識字能力の低下などで読書をあきらめていた人」や「誰もが等しく年をとり、いつかは視力低下におちいるわけですから」とあるように、高齢による視力低下が進んでいる人、という、改正後の著作権法37条3項にいうところの「その他視覚による表現の認識に障害のある者」の利用のことをおっしゃっているわけですが。

まさに今回の法改正のねらいの一つについて的確に評価されているものといえましょう。

現在、権利者側との間で、改正後の著作権法37条3項の運用のためのガイドライン作りが進んでいると聞きますが、権利者団体の方も、このような著作者の立場にある方からの声も踏まえつつ、より幅広く運用できるような形でのとりまとめをお願いしたいと思います。

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文化庁著作権課が政令案を公表できない理由とは...

前回、著作権法施行令の一部を改正する政令案が現在パブコメ中なのですが、概要のみの公表にとどまり、案文そのものが出されてない、何やってんの文化庁著作権課、と書いたワケですが。

その理由が分かりました。
何でも、法制局との細かい詰めが終わっていないんだそうです。そりゃ外に出せないわな・・・。
細かい詰めを早く終えられて、政令案を早く公表するようお願いしたいものです。

「所要の改正」って言われてもどういう改正されているのかわからないじゃないですか〜文化庁著作権課さん!

あと、他のブログでも言及されているようですが、1箇所誤記らしい箇所があるようです。

「聴覚障害者」と書くべきところ「視覚障害者」と書いてある箇所があります。(I1.(2)の1つ目の○にある「視覚障害者等のために」の箇所)

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政令案公示開始、少し安心...とはいえ...(障害者関係著作権法改正関係)

前々回、以下の投稿をして、せっかく対象施設の範囲が広がるはずが政令の段階で従来どおりの範囲とされるかも、との危惧を表明しました。

「障害者サービス関係著作権法改正の「骨抜き」画策か?」
http://gomame.cocolog-nifty.com/library_copyright/2009/09/post-2b22.html

で、政令案の中身がどうなるのか心配していましたが、結論から言うと、杞憂でした。少し安心...。

ただ、視覚障害者サービス関係では「少し安心」ですが、聴覚障害者サービス関係は、字幕と手話の作成ができる施設の範囲について、ほぼ従来ベースで、公共図書館等が含まれていません。なぜか第2号の映像付きの字幕・手話の作成には含まれているんですが。(国立国会図書館と大学図書館はこちらにも含まれていません。どうなってるんでしょう?)

「著作権法施行令の一部を改正する政令案に関する意見募集の実施について」(e-govのページ)
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=Pcm1010&BID=185000442&OBJCD=&GROUP=

このページに、以下の政令案の概要(PDFファイル)が掲載されていました。
「著作権法施行令の一部を改正する政令案の概要」(e-govのページ)
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=Pcm1030&btnDownload=yes&hdnSeqno=0000058193

以下に障害者サービス関係のところだけ採録しておきます。
----------
著作権法施行令の一部を改正する政令案の概要

 「著作権法の一部を改正する法律」(平成21年法律第53号。一部を除き、平成22年1月1日施行)の施行に伴い、著作権法施行令について必要な規定の整備等を行う。
(施行期日:平成22年1月1日)

Ⅰ 障害者福祉関係(法第37条第3項、第37条の2)

1.政令委任事項
 改正後の著作権法(以下「法」)第37 条第3項及び第37 条の2では、「障害者の福祉に関する事業を行う者で政令で定める者」が、視覚障害者等向けの録音図書の作成や聴覚障害者等向けの映画字幕の作成等を行うことができる旨規定。

2.改正内容
(1) 視覚障害者等のための複製等が認められる者(法第37条第3項関係)
○ 以下の施設を設置して視覚障害者等のために情報を提供する事業を行う者を一般的に定める。
 ① 児童福祉法第7条第1項の知的障害児施設及び盲ろうあ児施設
 ② 大学・高等専門学校に設置された図書館及びこれに類する施設
 ③ 国立国会図書館
 ④ 身体障害者福祉法第5条第1項の視聴覚障害者情報提供施設
 ⑤ 図書館法第2条第1項の図書館
 ⑥ 学校図書館法第2条の学校図書館
 ⑦ 老人福祉法第5条の3の養護老人ホーム及び特別養護老人ホーム
 ⑧ 障害者自立支援法第5条第12 項に規定する障害者支援施設及び同条第1項に規定する障害福祉サービス事業(生活介護(第6項)、自立訓練(第13 条)、就労移行支援(第14 項)又は就労継続支援(第15 項)を行う事業に限る。)を行う施設

○ その他の条件として、
 ・ ①、④及び⑧を設置する者については、非営利目的の法人に限定。
 ・ ⑤については、司書又はこれに相当する職員として文部科学省令第1条の3で定める職員を置いている図書館に限定。また、その設置主体を地方公共団体又は公益社団法人若しくは公益財団法人に限定。

○ ①~⑧の施設を設置する者のほか、視覚障害者等のために情報を提供する事業を行う法人(法人格を有しない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものを含む。)のうち、「視覚障害者等のための複製又は自動公衆送信を的確かつ円滑に行うことができる技術的能力、経理的基礎その他の体制を有するものとして
文化庁長官が指定するもの」を定める。

(2) 聴覚障害者等のための字幕等の作成・自動公衆送信が認められる者(法第37条の2第1号関係)
○ 身体障害者福祉法第5条第1項の視聴覚障害者情報提供施設を設置して視覚障害者等のために情報を提供する事業を行う者(非営利目的の法人に限る。)を一般的に定める。

○ 上記のほか、聴覚障害者等のために情報を提供する事業を行う法人(法人格を有しない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものを含む。)のうち、「聴覚障害者等のための複製又は自動公衆送信を的確かつ円滑に行うことができる技術的能力、経理的基礎その他の体制を有するものとして文化庁長官が指定するも
の」を定める。

(3) 聴覚障害者等のための字幕や手話付きの映画の作成・貸出しが認められる者(法第37条の2第2号関係)
○ 以下の施設を設置して聴覚障害者等のために情報を提供する事業を行う者を一般的に定める。
 ① 大学・高等専門学校に設置された図書館及びこれに類する施設
 ② 身体障害者福祉法第5条第1項の視聴覚障害者情報提供施設
 ③ 図書館法第2条第1項の図書館
 ④ 学校図書館法第2条の学校図書館

○ その他の条件として、
 ・ ②を設置する者については、非営利目的の法人に限定。
 ・ ③については、司書又はこれに相当する職員として文部科学省令第1条の3で定める職員を置いている図書館に限定。また、その設置主体を地方公共団体又は公益社団法人若しくは公益財団法人に限定。
 ・ 全てについて、法第37 条の2第2号の規定の適用を受けて作成された複製物の貸出しを文部科学省令で定める基準に従って行う者に限定。

○  ①~④の施設を設置する者のほか、聴覚障害者等のために情報を提供する事業を行う法人(法人格を有しない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものを含む。)のうち、「聴覚障害者等のための複製を的確かつ円滑に行うことができる技術的能力、経理的基礎その他の体制を有するものとして文化庁長官が指定
するもの」を定める。

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というか、政令案の案文自体が未公表なんですけど・・・。案文がなくてどうやって意見を言えっていうんでしょうか、文化庁著作権課さん!

他のところも図書館的には注目しなければならないところがあるので、また投稿します。

追記(2009.11.16)
「第2号の映像付きの字幕・手話の作成」に「国立国会図書館と大学図書館」が含まれていない、と書きましたが、よく読んでみますと、大学図書館は含まれていました。このため、ここの部分を削りました。国立国会図書館が含まれていない事情としては、同館にこのサービスをする意思がないとして同館から要望がなかったということが考えられますので、別に文化庁なりを責める理由にはならないからです。

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『コピライト』誌のH21著作権法一部改正法の解説、越年になります!

 著作権に関する様々な事業を行っている社団法人著作権情報センターが発行する『コピライト』という月刊誌(原則会員のみ頒布の非売品)があります。

 同誌には、同センターが毎月主催する著作権関係の講演会の講演録や、最近の内外の著作権に関する動向の紹介、国内外の著作権に関するトピックの解説記事、判例解説などが掲載されており、著作権を研究している人なんかには必読だったりします。

 そんな同誌の最大の売りの一つに、最近の著作権法改正に関する文化庁著作権課の法規担当者による詳細な解説記事があります。これまでは、法改正の数ヶ月後には必ず掲載されていました(唯一の例外が、H16年法改正のときで、著作権課長による講演録で代用されていました。やはりあの悪評高い(?)H16年法改正だったからでしょうか・・・)。

 それで、今回の法改正でも、当然、その解説記事が載る予定になっており、同誌の6月号(だったと思いますが)にも「10月号に掲載される予定となっている」との予告まで出されていたのでした。

 ところが、11月号になっても掲載されていません。これはいったいなぜ?
 11月号には、山下前課長による講演録が掲載され、その中で若干法改正にも触れられています。しかし、その内容はお世辞にも十分とは言えない内容で、文化庁HPに掲載された法改正の解説を超えないようなシロモノでした。とても、「史上最大の法改正」(by山下前課長)(←うろ覚えなのでちょっと違っていたかもしれません)の内容を理解するのには事足りない内容で・・・。

 で、同センターの知人に、雑談がてら尋ねてみたところ「いやぁ、あれは原稿が出てこないんですよ。困ってるんです」とのこと。つまり、やはり10月号の掲載が予定され、編集部から原稿執筆依頼が文化庁著作権課に出されていたっていうことのようです。

 それで、12月号の校正はもう終わっているので、12月号にも掲載されないことになっている、早くて1月号だ、というのです。

 1月って、もう改正著作権法は施行されているんですけど・・・。
 あんな大規模の法改正について、きちんと解説されないまま施行してもいいんですかね。

 で、やはりその理由は、政令案がなかなか公表されない理由と一致しているんじゃないかと。7月にあれだけ大きな異動をするから、うまく内容の引き継ぎがなされず、その結果として政令案の作成に時間がかかっている、と。(余談ですが、11月号の講演録で山下前課長が「もっとやりたかったのに異動になった」みたいなことを発言されていたのですが、この異動には何かウラがあったのでしょうか)

 漏れ聞く話によると、現在の文化庁著作権課の幹部が今回の法改正の中身について批判的で、そのために6月の法改正の趣旨に沿った政令案を作成することに消極的ということもあるようです。このまま政令も1月1日に間に合わなかったりすると、いったいどうするつもりなんでしょうかね、文化庁著作権課さんは。

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障害者サービス関係著作権法改正の「骨抜き」画策か?

長らくごぶさたしてます。変なコメントがいっぱいついていたので消すのに苦労しました・・・。
最終投稿から2年以上も経過していたんですね。ううむ。

久しぶりに投稿したいできごとがあったので、投稿しました。

この前の通常国会で、著作権法の大改正があったことはご存知の方も多いかと思います。
その中でも画期的だったのは、37条3項と37条の2の改正で、この改正によって障害者サービスが大改善される見込みでした。国会会議録を見ても、前向きな回答がありました。

しかし!そんなことを忘れさせるような「骨抜き」が事務方である文化庁著作権課が画策しているようなのです。これは大問題です。

あるきっかけで入手した「照会文書」(どうも障害者団体や図書館団体などに照会しているようですが、よくわかりません)です。いちおう全文掲載します。(著作権法第13条第2号該当と判断)

ごらんいただきたいのは、「注2」です。これによって、文字の音声化や拡大等のサービスを無許諾で行い得る主体が現行のものとほとんど変化がないということになり、今回の改正の意味の大部分が没却されることになります。こういうことを「官僚主導」で行うというのはどういうことでしょうか。国会答弁の趣旨からも大きく反するこのような動きは、問題ではないかと思います。

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著作権法施行令の一部を改正する政令案(障害者関係権利制限関係)に関する事項について(照会)

平成21年9月16日
文化庁著作権課

 平素より大変お世話になっております。
 著作権法の一部を改正する法律による改正後の著作権法第37条第3項又は第37条の2第1号若しくは第2号に関し、「政令で定めるもの」の指定を希望する事業者がある場合は、それぞれについて、以下の事項について、9月25日までにご回答願います。
 ご回答は政令指定の対象範囲を検討する際の参考とさせていただきますので、可能な限り具体的なものとなるようお願いいたします。また、必要に応じて追加の照会することもありえることを、予め申し添えます。

① 指定を希望する「障害者の福祉に関する事業を行う者」 ※注1
② 当該事業者が「視覚障害者等の福祉に関する事業」を行うものであることを示す根拠(法令(条例含む)、定款、その他文書により定められたもの)及び根拠がある場合はその具体的内容(該当箇所の引用又は原本の写しの提出をお願いいたします。)
※注2
③ 現在実施している視覚障害者等又は聴覚障害者等を対象とする著作物の作成・提供に関する事業の状況
 i 対象者(どのような利用者が対象か)
 ii 対象障害種
 iii 事業内容
 a 対象著作物の種類
  b 事業の具体的内容
   以下の点を含め、具体的に記入願います。
   ・ どのような場面でどのような著作物利用が必要となるのか。
   ・ 翻案を行うか否か。行う場合はその具体的内容。
  c 事業実績
   以下の点を含め、具体的に記入願います。
   ・ 作成又は提供をした著作物の複製物種類及び数
   ・ 情報提供を行った障害者数
 iv 利用者が視覚(又は聴覚)による表現の認識に障害のある者であることの確認方法及び利用者の登録制度の導入の有無
 v その他、目的外使用、出所の明示、同一性保持権等に係る規定に従い法令を遵守した著作物利用を行うための体制について。
  以下の点を含め、具体的に記入願います。
    ・ 法令を遵守した著作物利用のためのガイドライン等の策定の有無及びその具体的内容
④ 今後政令指定を受けた際に実施を予定している視覚障害者等又は聴覚障害者等を対象とする著作物の作成・提供に関する事業の内容について
 i 対象者(どのような利用者が対象か)
 ii 対象障害種
 iii 当該事業者の利用者として想定される障害者数の規模及びそれを示す根拠資料
 iv 事業内容
 a 対象著作物の種類
  b 事業の具体的内容
   以下の点を含め、具体的に記入願います。
   ・ どのような場面でどのような著作物利用が必要となるのか。
   ・ 翻案を行うか否か。行う場合はその具体的内容。
  c 事業予定
   以下の点を含め、具体的に記入願います。
   ・ 作成・提供をした著作物の複製物の種類及び数
   ・ 情報提供を行う障害者数
 v 利用者が視覚(又は聴覚)による表現の認識に障害のある者であることの確認方法及び利用者の登録制度の導入の有無
 vi その他、目的外使用、出所の明示、同一性保持権等に係る規定に従い法令を遵守した著作物利用を行うための体制について。
  以下の点を含め、具体的に記入願います。
    ・ 法令を遵守した著作物利用のためのガイドライン等の策定の有無及びその具体的内容
⑤ 現在、事業を実施していない事業者については、今後、新たに事業の実施が必要となる理由。
   (現在、例えば、視覚障害者関係では、(社)日本文藝家協会と(社)日本図書館協会との間許諾契約により、視覚障害者等向けの録音図書の作成が可能となっていると承知しています。また、聴覚障害者関係では、(福)聴力障害者情報文化センターと各権利者団体との許諾契約により、映画や放送番組への字幕付与サービスの実施が可能となっていると承知しています。これらのような取組を行っている事業者は、今後も、事業実施の必要性が相対的に高いとも考えられることから、念のため確認するものです。)

注1: 事業について法令上の根拠が異なる毎に、別々に回答願います。例えば、図書館法第2条1項の図書館、図書館法29条の図書館類似施設は別々の取扱とすることとなります。
注2: 例えば、単に国民又は市民全体を対象として事業を行う旨が定められているのみの場合は、これに該当するとは認められないものと取扱います。

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照会日付が9月16日で、シルバーウィークが間にあることを考えると実際の検討に費やせる日が5日間しかないというのも非常に問題だと思いますし・・・。やる気あるんでしょうか。

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中山先生、「横浜方式」を正面から肯定です!

またまたおひさしぶりです。

昨日、中山信弘先生による待望の著作権体系書である『著作権法』(有斐閣、2007.10)を買いまして、早速読んでみました。ううむ、スゴい。引き込まれるように読んでいきました。

で、一番ビックリしたのが、次の記述。
「なお、図書館の利用者が自主的にコイン式複写機を用いて複製する行為は、条文を素直に読む限り、それが私的使用目的であれば30条により侵害とはならないと考えられる。つまり図書館での複製機器は30条1項1号の自動複製機器を用いた複製に該当するが、附則5条の2により文書・図画については適用除外とされているからである。もしこのような解釈を採れば、図書館自身は31条1項1号の複製しかできないが、利用者が図書館による管理を離れて主体的に複製する場合は、30条の要件を満たす限り全部の複製が可能ということになる。しかしこれでは31条1項1号の趣旨が逸脱されてしまうので、図書館においては31条が優先するという解釈もありうる。ただ、そのように解釈したとしても、利用者は一歩図書館を出れば街のコピー屋で全部複製ができるため、資料の館外貸出しを受けて複製するようになるだけであろう。このような問題はどのような解釈をしても問題は残るであろう」(pp.254-255)

これってつまり、「どうせ館外貸出しで全部コピーされるんだから、館内で30条コピーすることを認めても同じ」って見解ですよね〜?
現職の法制問題小委主査の見解ですから、結構影響大きいと思うんですが・・・。権利者側の反応が気になるところです。

〔2007.10.14, 22:00 中山先生の著書中の引用ページを補記〕

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