中山先生、「横浜方式」を正面から肯定です!

またまたおひさしぶりです。

昨日、中山信弘先生による待望の著作権体系書である『著作権法』(有斐閣、2007.10)を買いまして、早速読んでみました。ううむ、スゴい。引き込まれるように読んでいきました。

で、一番ビックリしたのが、次の記述。
「なお、図書館の利用者が自主的にコイン式複写機を用いて複製する行為は、条文を素直に読む限り、それが私的使用目的であれば30条により侵害とはならないと考えられる。つまり図書館での複製機器は30条1項1号の自動複製機器を用いた複製に該当するが、附則5条の2により文書・図画については適用除外とされているからである。もしこのような解釈を採れば、図書館自身は31条1項1号の複製しかできないが、利用者が図書館による管理を離れて主体的に複製する場合は、30条の要件を満たす限り全部の複製が可能ということになる。しかしこれでは31条1項1号の趣旨が逸脱されてしまうので、図書館においては31条が優先するという解釈もありうる。ただ、そのように解釈したとしても、利用者は一歩図書館を出れば街のコピー屋で全部複製ができるため、資料の館外貸出しを受けて複製するようになるだけであろう。このような問題はどのような解釈をしても問題は残るであろう」(pp.254-255)

これってつまり、「どうせ館外貸出しで全部コピーされるんだから、館内で30条コピーすることを認めても同じ」って見解ですよね〜?
現職の法制問題小委主査の見解ですから、結構影響大きいと思うんですが・・・。権利者側の反応が気になるところです。

〔2007.10.14, 22:00 中山先生の著書中の引用ページを補記〕

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図書館と著作権に関する新刊案内

 日本図書館協会著作権委員会編による『図書館サービスと著作権』(図書館員選書・10)の改訂第3版が出ました。(1680円)
 amazonに掲載された「「MARC」データベース」の内容案内では「図書館の立場で複写等の問題を具体的に解説。現場の参考書として使える解説書。構成を再編した改訂第3版」とそっけなく紹介されています(初版から解説文がほとんど変わっていません。改訂版以降全然違う内容になったのに・・・)が、実際には、付録がかなり充実していて、著作権法31条に関する2つのガイドライン、著作権審議会第四小委員会報告書の抜粋、多摩市立図書館事件の東京地裁判決の抜粋、上映会関係の文書、公共図書館における録音図書作成関係の文書まで収録されています。ここまで収録されている解説書は他になく、解釈の根拠を探し出すにはとても便利です。
 ご参考までに目次を掲げておきます。

第1章 図書館業務と著作権
1.1 図書館と著作権
1.2 資料と著作物
1.3 図書館業務と著作権法の関連事項
第2章 著作権の諸概念
2.1 著作物
2.2 著作者
2.3 著作者に与えられる権利(1) 著作者人格権
2.4 著作者に与えられる権利(2) 著作(財産)権(狭義の「著作権」)
2.5 著作権の発生と消滅(保護期間)
2.6 著作権の制限(自由に利用できる場合)
2.7 もう一つの権利---著作隣接権について
2.8 外国の著作物の保護
2.9 罰則
2.10 著作物を利用するための方法
第3章 図書館業務と特に関係する規定
3.1 図書館等の複製(法31条)の規定
3.2 点字等による複製(法37条)の規定
3.3 非営利・無料による上演等(法38条)の規定
第4章 利用形態別の解説
4.1 閲覧(法22条の2、38条1項)
4.2 複写
4.3 貸出
4.4 無料上映会・レコードコンサートの実施
4.5 障害者サービス
4.6 新刊案内等における本の表紙等の利用
第5章 著作権調査と著作権処理
5.1 著作権調査と著作権処理の流れ
5.2 著作物の特定
5.3 著作物の著作者の特定と保護期間の算定
5.4 著作権の帰属の調査
5.5 著作権者との交渉
5.6 文化庁長官の裁定の手続
付録A 公貸権制度
付録B 著作権法令など
B-1 著作権法
B-2 著作権法施行令(抄)
B-3 著作権法施行規則(抄)
B-4 著作権法関係告示一覧
B-5 戦時加算関係
B-6 著作権審議会第四小委員会(複写複製関係)報告書
B-7 多摩市立図書館事件判決
B-8 著作権法第31条関係ガイドライン
B-9 上映会関係文書
B-10 録音図書作成関係文書

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31条図書館の新規指定がありました。(平成19年5月21日官報掲載)

みなさま、ごぶさたしております。
もうだいたい20日くらい経過しておりますが、まったくと言っていいほど取り上げられていないようなので、ネット上の検索の便も考えて、紹介記事を書きます。

著作権法31条では、一定の要件を満たせば、図書館等において著作権者の許諾なしに複製を行えることとしていますが、その図書館等の範囲については著作権法施行令1条の3において限定的に定められています。この政令では、この図書館等として、国立国会図書館、図書館法2条1項の図書館、大学・短大・高専図書館、国立大学校図書館、博物館等の図書館、一般公衆に開放している国公立研究所の図書館、そして、これらに準ずる図書館等として文化庁長官が指定する施設の7種類の施設を定めています。

この最後の種類の図書館ですが、昭和60年に指定されて以来、新規の指定は実質的にはなされておらず、その理由としては日本複写権センターの設立による文献複写の集中処理システムの整備が挙げられていましたので、新規の指定は実際上困難であると認識されていました。

それが、約20年ぶりに、山階鳥類研究所(あの紅白歌合戦でかつて票数を数えていた団体です(よね?))の資料室が、31条図書館として指定されたのです。なお指定日は、平成19年4月27日となっています。

これまでの文化庁著作権課の方針からみて新規指定はかなり困難と見られていましたが、何か方針の変更でもあったのでしょうか??興味が湧くところです。

以下にこの指定を行った旨を公告した文化庁告示の全文を掲げておきます。
(出典)官報第4586号〔平成19年5月21日付け〕第5面
http://www.kantei.go.jp/jp/kanpo/may.4/km0521ee.html

○文化庁告示第九号
 著作権法施行令(昭和四十五年政令第三百三十五号)第一条の三第一項第六号に基づき、著作権法(昭和四十五年法律第四十八号)第三十一条の図書館資料の複製が認められる施設として、次に掲げるものを平成十九年四月二十七日付けで指定したので、同令第一条の三第二項に基づき告示する。
 平成十九年五月二十一日
           文化庁長官 青木 保
財団法人山階鳥類研究所資料室

※ 肝心の最後の1行が欠落していました。申し訳ございません。okeydokeyさんのトラックバックによるご指摘を受けまして、加筆いたしました。okeydokeyさん、ありがとうございました。

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まぁ当然でしょ【2/28読売社説】

2/28の読売の社説は、自民党のシンクタンク構想がお粗末な結果となったことを批判する内容であった。
[シンクタンク]「これで『脱・霞が関』は無理な相談」(Yomiuri Online)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20060227ig91.htm

まぁ、国会「改革」と称して自らの戦力をわざわざ縮小する案を作るような政党ですから、シンクタンク構想なんて土台無理な話だった、それだけのことですな。

シンクタンク構想なんて考えるんだったら、その前に立法補佐機能の強化を考えるべきなんじゃないのでしょうか。そもそも自前で霞が関に対抗しようなんていう気はさらさらないようです。あの「私のしごと館」の建設責任者の労働官僚出身の一年生議員に国会「改革」案を作らせるようなメンタリティですから・・・

なぜ目の前にある調査機関を充実強化しようと考えないのでしょうか。費用対効果を考えてもそっちの方が有効でしょうに。

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自民党案の全貌【国会図書館の独法化問題】

昨日のエントリにコメントをお寄せくださった方が、自民党案へのリンクを教えてくださったので、早速読んでみました。
国会事務局等改革に関する提言
http://www.jimin.jp/jimin/gyo/katsudou/h18/180210.pdf

ううむ、これはすごい・・・。
国会図書館、ずたずたです。
調査機能が衆参の委員部に合体させられた挙げ句、現場として独法に「調査室」というものを残すらしい。
あと、子ども図書館と関西館が跡形もありません。昨日ご紹介した自民党の機関紙によれば、「わが党が強力に推進」して設立したはずのこの両施設を廃止ですか。自民党のご都合主義、すごすぎです。

報道によれば、扇千景参院議長は、この案の提出を大歓迎なされたとのことで、5年前に出されるべきだったなどとおっしゃったらしいですが、5年前に扇議長の友党であった自民党が、国会図書館の拡大化を党として推進していたことをお忘れのようです。

人の記憶って、本当にはかないものなんですね。
文献(資料)による裏付けの重要さがわかるような気がします。とすると、出版物を永久保存する意義というものも重要になるわけですが、まさか都立のように「永久保存しなくていい」ってことにはならないですよね?

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自民党は一貫性がない?【国会図書館法人化】

「国会図書館の改革 進化続ける国会図書館(クローズアップ あなたの生活こうなります)」自民党ホームページより
http://www.jimin.jp/jimin/closeup/2074/closeup.html

この記事は党機関紙の『自由民主』の2002年11月26日号に掲載されたものらしいのですが、今と言っていることが全然違うのでビックリれす。

確か、国家公務員の定員が減り続けているのに国会図書館だけは定員が増え続けているので定員削減を図るとかいうのが今の自民党の提案の方向性だったような気がしますが、このときにはですね・・・

「二十一世紀の高度情報化社会に対応して、国立国会図書館が進化を続けています。わが党が推進した法律の改正に基づいて関西館がオープン、それを機にインターネット上のサービスを拡充。東京本館と関西館、全面開館した国際子ども図書館が一体となって、一層国民に奉仕していく体制が整いました。」

「わが党が推進した法律の改正に基づいて関西館がオープン、それを機にインターネット上のサービスを拡充」ですって・・・おい、産經新聞!アンタは苟も天下の与党たる自民党さまの方針で行われてきた施策を、こともあろうに「副業」などとのたまうとは、何様のおつもりか?

「これからの国会図書館のサービスは東京・永田町にある東京本館、京都府精華町の関西館、そして国際子ども図書館(東京・上野公園)、の三施設が拠点となります。各館が、それぞれの特色を生かし、一体となって便利で、かつ質の高いサービス提供を目指していくことになります。」
なのに、今の自民党さんの方針では、子ども図書館や関西館はなくなってしまうような感じです。

この記事を読む限り、2002年当時の自民党の方針は、施設やサービスを拡大することで「国会図書館の改革」を進める、と言うものだったはずですが、それがなぜ今、施設やサービスを縮小する方向になってしまうのでしょうか。自民党には政策の一貫性というものは無いのでしょうか。

独法化によって、「進化続け」ていたはずの国会図書館の進化が逆方向にならないことを、図書館界の一人として切に望むところであります。あと、自民党も賛成したはずの「文字・活字文化振興法」の精神はいずこへ?

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国会図書館、独法化か!?

前から行方が注目されていた国会図書館の行く末ですが、ついにその運命が決したようですね。
「国会図書館、独法化へ 自民行革本部、国会改革の目玉に」Sankei Web(2/2)
http://www.sankei.co.jp/news/060202/sei028.htm

また常連(?)コメンテーターの方々が色々と書き込みになられそうなネタですが(爆)
自民党の行革本部が2/9の本部会議で国会図書館の独法化を決定する方針なんだそうです。
やっぱりな〜。
1/1の拙稿で指摘したとおりですよ、まったく。
ここでは、

これにひきかえ国会図書館は、やれ子ども図書館だとか、やれ関西館だとかと、無自覚な膨張を繰り返しているだけ(これって戦前の「国防方針なき」陸海軍と同じでは・・・)としか思えないので、こういう守りの局面になると、戦前の陸海軍と同じで何も対応できないような感じがするのは私だけ??

なんて書いてしまいましたが、この産経の記事でも、
最近は国会議事堂隣の本館に加え、京都府精華町に「関西館」、東京都台東区に「国際子ども図書館」が相次いで開館した。このほか電子化にも取り組むなど、「副業」の拡大が顕著になっている。

なんて書かれています。「副業」だって・・・。ひどい書き方です。まったく。
とはいえ、最近の拡大方針が裏目に出たことは間違いなさそう。やっぱり目立ちますよね。このご時世に増員を繰り返してきたんですから。開館日や開館時間を延長したことで人員を増やしたんですから、その辺りの工夫が求められるのでは。公共図書館では、やむを得ず正職員を減らして臨時職員を増やしたりしてますが、国会図書館もそうなるんでしょうか。

12月24日の行革本部会議では衆参の改革のみが議題になったので、国会図書館の方々は安心していたんでしょうが、国会図書館は「改革」どころか「独法化」ですから、いやはや、どうなるんでしょうか。まさか事前の情報収集をやっていないはずはないでしょうから、「寝耳に水」ってことはないんでしょうが、もしそうだったら組織としてヤバすぎです(爆)

今後の展開が気になるところです。
何と言っても、公共図書館を始め、他の図書館界にも波及するでしょうから・・・

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図書館関係ガイドラインが発効に

そういえば、今年から図書館関係のガイドラインが発効するんでしたっけ・・・。

著作権法第31条の運用に関する2つのガイドライン(日本図書館協会ウェブサイト)
http://www.jla.or.jp/fukusya/index.html

根拠規定もないのに「ガイドライン」による運用をして大丈夫なのかなぁ・・・図書館界のひとりとして不安に思う今日この頃です。「もし万が一どこかの著作権者からこのガイドラインの運用に関してクレームが出たときには、話合いのうえ解決したいと考えています。そのような場合は、速やかに日本図書館協会著作権委員会までご連絡ください。当事者協議会を構成する権利者側団体とも協力して、問題の解決に当たります。」って書いていますが、ビジュアル著作権協会みたいなところが出てきて訴訟沙汰にでもなったら・・・おおコワ。

まぁ、横浜市立図書館に対しても訴訟を起こせないヘタレな権利者ですから、大丈夫なのかもしれませんケド。

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国会図書館のゆくえ

あけましておめでとうございます。

このブログ、しばらくお休みをいただいておりましたが(本業がタイトになったので・・・すみません)、正月ということで、今年は気合いを入れてやっていきたいと思います。なにとぞよろしくお願いいたします。

しばらくお休みをいただいたので、久しぶりにチェックをしましたら、ありがたいことに、結構(辛口なものを含めて)コメントをいただいていました。ありがとうございます。追ってコメントしますが、その中で、昔投稿した国会図書館の館長問題の投稿に「西口ぶるーす」さんからコメントをいただきまして、そこで以下の読売の記事をご紹介いただきました。ありがとうございます。今回はそれを中心に。

両院法制局を統合、自民が国会事務改革案(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20051225i102.htm?from=main1

あの「見出し」掲載にケチをつける読売の記事なので、見出し掲載にはかなり勇気が必要でしたが(笑)、記事のことを「論評」しますので、ゴーマニズム裁判の上杉先生を見習って、論評のためには引用してもかまわないんだ、という意気込みで、あえて見出しを掲載することとしました(爆)

この記事によると、12月24日に自民党が検討チームを開いて改革案を決めた、その中には両院法制局の統合を始めとして色々なことが書かれていた、というわけです。

この記事を読んで、私は少し前に産経に掲載されていた、衆院事務局による事務局スリム化の検討についての一連の記事のことを思い出しました。

国会事務局改革 委員部と調査局統合 衆院総長私案 運転業務は民営化(産經新聞2005年11月24日付け)
http://www.sankei.co.jp/news/051124/morning/24pol001.htm

国会改革案 新規採用、退職の半数 幹部高給見直し 衆院検討チーム(産經新聞2005年11月28日付け)
http://www.sankei.co.jp/news/051128/morning/28iti003.htm

要するにこの自民党案は、衆院事務局側で検討された案をたたき台にしているみたいですね。
単に人だけを減らすのではなく、機能を縮小して減員に伴うマイナス分を吸収しているところがクレバーです。聴くところによれば、衆参委員部と衆調査局・参委員会調査室の仕事っていうのは、各省庁の法令・企画担当係が審議会を運営する際に行う業務を分担して行っているだけに過ぎないみたいですから、委員部と調査局の統合というのは現実に則した内容と思います。(委員部は委員会の日程調整、委員会の進行等の「運営面」を担当。調査局・委員会調査室は委員会の議事資料の作成、質問作り、参考人ピックアップなどの「内容面」を担当)

これにひきかえ国会図書館は、やれ子ども図書館だとか、やれ関西館だとかと、無自覚な膨張を繰り返しているだけ(これって戦前の「国防方針なき」陸海軍と同じでは・・・)としか思えないので、こういう守りの局面になると、戦前の陸海軍と同じで何も対応できないような感じがするのは私だけ??

衆院で減員を決めているのでしたら国会図書館も人減らしをしなければならないのでしょうけれども、きちんとリストラをしたうえで減員しないと、今のサービス内容が低下することになって、今度は(今度こそ?)国会図書館不要論が出てきたりしますよ・・・。

せっかく都立大の院生が朝日に応援論を投稿してくれたんですから、それをきちんと生かさないと、それこそ「西口ぶるーす」さんのおっしゃるように、地位低下を招いてしまいますよ!国会図書館さん!!

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親愛なる「正義の味方」さまへ

正義の味方 さま、コメントありがとうございます!
こんな昔の投稿にもかかわらず、コメントをくださってとても感謝してます。

文体や内容等を推察するに、以前ご投稿くださった「とおりすがり」さんと同一のお方でしょうか??ぶっきらぼうで図書館側に冷たいような文章なのですが、どこか図書館側を励ましているように感じられて、とても好感を覚えています。

私も多分、「役所や審議会」が、今回あのような検討結果を出したのも、図書館側の以上のような活動が足りないために、法改正の応援団が一人もいなかった、すなわち、「役所や審議会」に、「この法改正は必要ですよ」と働き掛けをする「(別の)役所」や国会議員がいなかった、というところに原因があると考えています。そして、こういう「(別の)役所」や国会議員がいなかったのは、図書館側が、これらの「(別の)役所」や国会議員に、その必要性を理解してもらえなかった(というか、理解してもらうような活動をしなかった)ということに原因があるのでは、とも考えています。

例えば今回法改正が適当とされた特許・薬事関係や障害者福祉関係の権利制限には、特許庁や厚生労働省という後ろ盾がありました。また、あれだけ政令指定されると言われたiPodについても、JEITAという強力な業界団体と経産省が後ろ盾にあったから、政令指定が行われなかったのではないかと考えます。

聴くところによりますと、議員立法の場合も含め、何かの制度を新たに法律でつくるためには、かなり強力な運動を行う必要があるのだとか。個人的にはかなり拙速に行われた印象のある附則4条の2の削除の際も、権利者側はかなりの運動を行ったように思えます。それに比べ、今回図書館側はほとんど運動らしい運動を行わずに法改正の要望を出したので、本来味方になってくれるはずの文科省も及び腰だったわけですし、味方になる議員なんて一人もいません。そりゃ、「役所や審議会」が図書館関係の法改正の要望をあのように軽く扱うのも何となくわかるような気がします。味方になってくれる役所や議員団がいれば、あのような報告書をつくったら「何だあの内容は」っていうクレームがつくので説明責任を果たさなければならないことになりますが、そういう存在がなければ、何食わぬ顔であんな報告書を書いても平気ですからね。

まぁ、いずれにしても、今までは役所当局や与党議員を敵扱いする体質であったと思われる図書館界も、こういう人たちを味方にするように運動方針を見直す時期になっているような気がします。

正義の味方さま(とおりすがりさま?)、もしよろしければ、またコメントをよろしくお願いいたします。

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法制小委(第9回)の議事録が(pdfですが)公表

本日(2005.12.1)は、今期最終となる法制小委員会(第10回)が開催される日です。
そんなわけで(?)、前回の第9回の議事録が、pdfではありますが(w ようやく公表されました。

6 議事録(pdf:136KB)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/bunka/gijiroku/013/05111401/003.pdf

もちろん、あの図書館側提案がポシャるきっかけとなった、甲野課長の「思い込み」が「図書館関係者の意向」として語られる箇所もバッチリ載っています(当たり前ですが・・・)。

そういえば、明日の図書館総合展で甲野課長がご講演をなされるんでしたよね。
以下はサンメディアさんのウェブサイトの「お知らせ」欄(http://www.sunmedia.co.jp/)から転載。

12月2日(金)第4会場
(10:30〜12:00)
フォーラム内容
「著作権法改正と図書館:パ−ト2」
講師:甲野正道氏(文化庁長官官房 著作権課長)
コーディネーター:長縄 友子氏(味の素(株)ライフサイエンス研究所)
「文化審議会著作権分科会法制問題小委員会」では、著作権法改正に向けての議論を行ってきましたが、その報告書案がまとまりました。今回の法改正では、特許や薬事法、図書館、教育分野での権利制限、デジタル録音機器を対象とした私的録音録画補償金制度の見直しなどが焦点となっています。甲野課長からは最新の著作権改正動向のご報告をいただきます。

まさにタイムリーな企画!
いったいどんな話をするのでしょう。第9回の会議で図書館関係者から怒りの目が向けられているでしょうに・・・。
どなたか傍聴記でも書いてくれないかなぁ・・・

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著作権法第三十七条第三項の著作物等の録音が認められる施設の指定の件(平成17年文化庁告示第23号)

視覚障害者がもっぱら進学する大学の附属図書館のうちで著作権法37条3項(視覚障害者への貸出しのための録音図書を無許諾で作成できるという規定)の適用を受けることができる図書館については、文化庁長官が指定することとされており(著作権法施行令第2条第2項)、これまでは唯一、筑波技術短期大学視覚部図書館のみが指定されていました。

ところが、同短期大学は、今年の国立大学法人法(*)の改正により、四年制大学に昇格し、今年(2005年)10月1日から「筑波技術大学」となることとなりました。

それで、この指定がどうなるのかな、と思っていたら、今年の10月13日付けの官報に「著作権法第三十七条第三項の著作物等の録音が認められる施設の指定の件(文化二三)」というものが掲載されていました。多分この告示で新大学である筑波技術大学附属図書館視覚障害系図書館が指定されているのではないかと思います。(手元に官報がないので確認できず・・・)

【追記】トオリスガリさんに官報に掲載された告示全文をアップしていただいたので、やっぱりこの告示(2005年10月13日付け)により筑波技術大学附属図書館視覚障害系図書館が、同大学発足日である2005年10月1日付けで指定されていたことがわかりました。

(*)net surferさんのご指摘を受け、「学校教育法」を「国立大学法人法」に訂正しました。(2006.2.5 23:46)

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船橋市西図書館蔵書廃棄事件の差戻裁判の判決

もう各紙でも紹介されていますが、メモ代わりに。
このブログでも数回取り上げました船橋市西図書館蔵書廃棄事件ですが、昨日(2005.11.24)に東京高等裁判所第818号法廷にて、午後2時きっかりに判決言渡が行われました。

某ブログの情報を手がかりに、この日の午後1時20分から始まるということで、少し早めに現地へ。

すると、空港の搭乗前の荷物検査のような検査を通過しないと中に入れないようになっていました。うう。
でも何とか無事通過して中に入ると、受付のところに帳簿が置いてあり(A3くらいか?)、当日の裁判予定を各部別に表にしたものが綴じられていました。そこで、「井沢元彦、井沢元彦・・・」と探してみると、「東京高等裁判所第21民事部関連事件表」という表の中に、「14:00 平成17年(ネ)第3598号 井沢元彦外7名 船橋市 判決言渡 818号法廷 イい 損害賠償(差戻し)控訴事件」という記述を発見。これは「時刻 事件番号 提起者 相手側 事件進行状況 出頭場所 係名 事件名」の順に記載されているのですが、げげ・・・14時じゃないの!

この日は午前11時30分開始予定の第1回弁論が2件、午後1時20分開始予定の判決言渡しが2件、午後2時開始予定の判決言渡し(この事件ですな)が1件、午後3時、午後4時及び午後4時30分開始の和解案件が3件が予定されていて、おそらく某ブログの方が問い合わせをなされたときには他の2件と同じく午後1時20分からまとめてすませてしまおうということだったのかもしれません。

ところがこの裁判が注目裁判だったので、急遽午後2時にずらした、これが真相なのでしょう・・・。
でもおかげでこっちがとばっちりを食いました。

気を取り直して818号法廷の場所を確認。8階の南にありました。で、下見のためにエレベーターで8階に。傍聴人入口横に裁判官等の氏名が。「裁判長 濱野惺 裁判官 高世三郎 裁判官 内藤正之 裁判所書記官 永瀬英晴」とありました。これらの人々が判決を下すんですね。

で、法廷に入ると、傍聴席の最前列前の柵の前のテーブルに何やら紙が。「出頭カード」というものが置いてありました。出頭したらチェックすることになっている、裁判当事者の氏名が書いてある紙のようです。そこには、原告に「井沢元彦外7名」とあり、「岡崎久彦 坂本順子 高橋史朗 西尾幹二 長谷川慶太郎 藤岡信勝 田中英道」とありました。後に判決で3,000円もらえることになった人たちですね・・・

被告は「船橋市」とありました。代理人は原告側7名、被告側5名。

この裁判、やはり注目裁判のようでして、テレビカメラの撮影がありました。スタッフ2名が撮影していました。で、最高裁のときには無かったと思われる、映りたくない人は外に出てください」というサジェスチョンが裁判所職員によってなされ、結局2人くらいしか残りませんでした。傍聴人は、8人程度。おそらくほとんどが関係者(代理人側?)のような感じ。一人ブロガーみたいな人がいましたが・・・。報道席には2人座っていました。原告席には4人、被告側には5人が着席していました。

そしていよいよ、女性の事務官(けっこうカワイイ・・・)が「平成17年(ネ)第3598号・・・」などと読み上げを開始して裁判が始まりました。・・・と言っても、主文を読み上げただけ(約2分程度)だったので、あっさり終わりましたが。

で、ご存知の方もいらっしゃるように、以下の内容の判決文となりました。(実際の文とは異なっている場合があります。何せ早口で・・・)

主文
1(1)被控訴人は控訴人に対し、控訴人1人あたりそれぞれ3,000円を支払え。
 (2) 平成17年8月20日(ちょっとアヤシイです・・・)からの年利5分を加算する。
2 裁判費用については1000分し、999を控訴人の負担とし、その余(つまり1)を被控訴人の負担とする。
なお、2(?ちょっとアヤシイです)については、仮執行を認める。

というもので、報道記事では「濱野裁判長は理由について~と述べた」なんていうことになっていますが、そんなことは一切なく、主文を読み上げて終わり。

まぁ実際に見に行った人っていうのも珍しいでしょうから、一応記録しておきます。

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近デジへの質問主意書:回答も公開に

11/2と11/9のエントリで、国立国会図書館の近代デジタルライブラリー事業に関する質問主意書が出ているということを書きましたが、その回答本文も公開されていました。

衆議院議員川内博史君提出国立国会図書館近代デジタルライブラリー等のアーカイブ事業に関する質問に対する答弁書
http://www.shugiin.go.jp/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b163034.htm

一番目の質問では、近代デジタルライブラリー事業に関する政府の文化的意義の評価についてのものでしたが、「文学作品等の出版物を国民が鑑賞する機会を充実させるものであり、文化的にも有意義なものであると考えている」という回答。ほぉ。近デジって「鑑賞する機会を充実させるもの」なんですね。むしろ社会科学的な内容の方が多いような気がするのですが、文学作品が主体でしたっけ?
「文化的にも有意義なもの」という結論を導きだすために取ってつけたような評価しかしてないような気がします。いや、近代デジタルライブラリーについてこんな評価をしたのを見たのが初めてだったので、少々びっくり。

二問目は、音源ライブラリー構築の可能性についての質問なのですが、「現在のところは予定していない」という、木で鼻でくくったような答弁。ただ、音楽資料の保存及び活用についての調査研究をしているというのを初めて知りましたので、へ〜って思いました。でも、デジタル化とかネットワーク公開とかじゃないんでしょうな。
三問目と四問目は映像ライブラリーと放送ライブラリーの話で、現状を説明しただけ。

あとは五問目。青空文庫に対する支援は今のところ予定していないんだそうです。この質問はむしろ「規制緩和」の方にポイントがあるのかも、と思っていたのですが、あっさりスルーされてしまいました。

大した質問答弁じゃなかったようで、いささか拍子抜けデス・・・

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「要望」は「クレーム対策」ではない。

あんな書きなぐりのようなエントリにもかかわらず、至極まっとうなコメントをいただきました。
ありがとうございました>とおりすがり さま

そんなわけで、コメントの返事を書こうと思ったのですが、せっかくなのでこの返事をエントリとさせていただきました。またコメントいただければ幸いです。

要望の趣旨がクレーム対策というのは少し違うのではないかと思います。
この報告書案をお読みいただいたのでしょうか?

図書館が果たすべき機能から考えて、これらの要望を行う必要があるということだと考えます。

借受資料を借受館でコピーすることも、コピーしたものを図書館の間で送信することも、媒体変換をして資料を保存することも、政府情報を全文コピーすることも、インターネット情報を館内でプリントアウトすることも、障害者に本の情報を提供することも、著作権許諾体制が未整備なために、困難な状況のために、実現が困難になっているのです。(許諾体制がきちんと整備され、図書館資料の大半が事前に一括許諾契約可能となれば、何も法改正の要望なんて要らないと思います)

とおりすがりさんにも、そのあたりの状況をもう少しお考えいただければ幸いなのですが・・・。

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図書館関係、全滅・・・

* 以下のエントリはかなり荒れた文章ですので、お読みの際にはご注意ください。

今日、法制小委(第9回)がありました。
で、著作権関係ブログ界隈では、iPod課金が見送られたためか、祝勝気分のエントリが多いようですね・・・。

でも、当ブログは「図書館と著作権」のブログですので、どちらかというと、気分がふさぎこんでいます。
だって、図書館関係の法改正、全滅だったんですから・・・。
一縷の望みがあると思っていた「借受資料」も「政府著作物」も、どれも見送り。

あ、すみません。
こんなことを書けるのも、すべてzfylさんが報告書案をpdf化してくださったおかげです。
いつもありがとうございます!!

本題に戻ります。
で、一番衝撃的だったのは、前回の会議で中山主査が前向きなコメントをなさっていらっしゃった、「借受資料」でして。
はぁ?
当事者間でガイドラインが締結されそうだから、そちらに委ねる??

当事者間協議の存在って、いったい何なのでしょうか?
図書館間FAX送信の要望もそうですが、どれも当事者間協議で結んだ、あのウサンクサイ「ガイドライン」というものが足かせになって、法改正の必要性がないという結論になってしまいました。これでは権利者側の思う壷じゃないですか。

私は、ここに、即刻、当事者協議会の解散を提案します!
ここで怪しげな「ガイドライン」を結んでしまうと、もう法改正の必要がないという結論になってしまうだけなので、百害あって一利無しです。

次は、政府資料の全部複写についてです。
中間まとめでは、何らかの対応が必要なんて書いてあったので、こちらもかなり期待していたんですが、はぁ?あのすでに「忘れ去られた」意思表示システムまで根拠に出してます。フザケルナ!
そんなに法改正がしたくないんですかねぇ?だいたい「意見がある」って書いてありますが、議事録を読んでいる限り、そんな意見を言っている委員なんてひとりもいないんですけどねぇ。ひょっとして著作権課の職員の意見じゃないんですかね。

さいごです。ウェブサイトのプリントアウト。
これも人をばかにした結論です。中間まとめのときからそうだったんですが。
紛争が起きていないから法改正の必要がない、ですと?
紛争が起きたらどうしてくれるんでしょう。公的機関はグレーなことはできないんです。シロじゃないと。文化庁の人も役人さんなんだから、それくらいわかっているはずだと思ったんですが・・・。憲法にも書いてあると思うんですけどね。

あと、zfylさんのメモを読んで、また目がクラクラ。
図書館側と称する人が著作権課長にいろいろ吹き込んでいるようで、例えば、ガイドラインの相手団体が管理していない著作物については、借受資料のコピーはやらないとか・・・。うそつけ!著作権課長に変なことを吹き込んだ図書館側の人、あんた、A級戦犯ですよ!

・・・と、いくら書いたところで、全滅は全滅。
もうさっぱりあきらめて、これからのことを考える必要がありそうです。
しかし、クヤシイ・・・。

(かなり荒れた内容になってしまいましたので、後日訂正するかもしれません。これをお読みになって気分を害された方、本当に申し訳ありません)

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近デジへの質問主意書の質問本文が公開されました。

以前、国立国会図書館のアーカイブ事業に関する質問主意書が出されたことを紹介しました。そのとき、まだ質問本文が公開されていないのでよくわからない、と書いたのですが、本日衆議院HPを確認したら、公開されていました。

http://www.shugiin.go.jp/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a163034.htm

経過情報」をみると、平成17年11月4日に答弁書を受領していることになっていますので、もう処理は終わっているはず。どんな回答になっているのでしょうか・・・。

で、質問本文を読んでみたら、国立国会図書館については全5問中1問で触れられていただけ。のこりは、レコード、映画、放送番組のアーカイブをつくらないのか、とか、青空文庫のような事業に支援等しないのか、という内容でした。近デジについての質問も、近デジを文化的にどのように政府として評価しているのか、というものでした。保護期間延長反対の立場からの質問なのでしょうが、結構遠回しに尋ねているなぁという感じがしました。

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文芸5団体の公貸権関連声明(長くてすみません)

またまた三田さんがやってくれたようです。
昨日(11/8)、日本文藝家協会をはじめとする文芸5団体が、「図書館の今後についての共同声明」を出しました。

Mainichi Interactive
共同声明:図書館貸し出し補償求める 文芸家協会など
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/gakugei/news/20051109k0000m040092000c.html

YOMIURI ONLINE
文芸家協会など5団体、図書館の充実求める声明
http://www.yomiuri.co.jp/national/culture/news/20051108ij21.htm

このニュースは毎日や読売の「紙の方の」新聞紙上でも掲載されていますが、どちらもネットの記事の方が内容が詳しいですので、ネットニュースをご覧になることをおすすめします。

お、著作権関係のブログでも早速このネタを取り上げられていますね。さすが。
Copy & Copyright Diaryさん、万来堂日記さん、エンドユーザーの見た著作権さん、著作権云々さん、ふっかつ!れしのお探しモノげっきさんで取り上げられていました。「図書館振興なんて言うけど、要は公貸権導入が目的なだけなんじゃないの?」という論調もあり、私も激しく首肯するところです。

つまり、この声明では、(1)図書館予算の増大、(2)図書館司書の増員と、図書館の強化を訴えた上で、最後に(3)国家または公的機関による著作者等への補償制度の確立を訴えているわけですが、これまで図書館のことを目の敵にしてきたこれらの人々(日本文藝家協会の三田さんも、日本推理作家協会の大澤さんもそうですよね?)が、なぜ今になって、図書館の強化も内容に含んだ声明を出すかが、いかにもうさんくさいわけですよ。で、(1)(2)を出して図書館から賛同を得たうえで、(3)についても図書館側の理解を得よう、そんな観測が出てくるわけです。

このことについてですが、実はこの声明、当初は日本文藝家協会と日本ペンクラブが日本図書館協会と一緒に出そうとしたものらしいのです。ところが、日本図書館協会は、2004年3月5日に、「図書館の基盤があまりにも貧しい現状では、公貸権制度の導入は時期尚早。まずは欧米並みに図書館の基盤が強化されることが先決」という内容の見解を出しています(「図書館における貸与問題についての見解」(2004年3月5日))から、到底受け入れられないわけで、難色を示したわけです。そうしたら、ということで、三田さん(とおそらく日本ペンクラブの松本佑子広報委員長)は、日本推理作家協会、日本児童文学者協会、日本児童文芸家協会に接触して、著作者団体合同での共同声明ということにしたのではないかと思います。

また、聞くところによると、この声明、少し前には文案が固まっていたとかで、一部では「なぜ発表しないんだ」という声もあったらしいです。そして、「10月27日の文字・活字文化の日に発表するんじゃないの?」という観測まで出る始末。う〜ん、なぜこの時期なのかはギモンですね。

この声明で私が一番驚いたのは、日本推理作家協会が名を連ねていたことです。この協会は、公貸権制度の導入よりも、貸出猶予を主張していて、昨年文化審議会著作権分科会に出した要望書でも、「公貸権の導入にあたって、国や自治体に補償金等の財源を求めるものは、金額的にあまり実効があがらぬ恐れがあるほか、手続き的にも繁雑な作業が予想される」としたうえで、「新刊本の売れ行きは、発刊後2週間ほどでピークを迎え、6ヶ月ほどでほぼ落ち着く。いわばこの6ヶ月が、著作権者等の主たる収益回収期間なのである。この利用機会を保護するため、公共図書館に一定の貸出猶予期間(3〜6ヶ月程度)を設定するよう、法制化を進めていただきたい」(*)と書いています。
日本推理作家協会は見解を改めたのでしょうか・・・??

(*)http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/bunka/gijiroku/013/04093001/002/004-4.pdfの(82)とヘッダーが振ってある文書が、日本推理作家協会の要望書です。このpdfファイルはかなり重いので、ご覧になる際にはご注意ください。

あと、今回の声明で最初に図書館予算と司書の増大を求めていることについてですが、おそらく先の日本図書館協会の声明を意識してのことだと思います。先にも述べたとおり、日本図書館協会では、欧米先進国の水準にならない限り、公貸権導入の議論を行うのは時期尚早という立場を取っています。そこで三田さんは、図書館予算と司書の増大を実現して図書館を欧米先進国並みの水準に引き上げれば、日本図書館協会が公貸権導入の議論の場に参加せざるを得ないと考えたのではないのでしょうか。

また、この声明、文芸5団体が共同して出したということにもかなり意味があります。これも伝え聞くところによりますと、文化庁は公貸権制度の導入要望につき、文芸家の団体で意見を一本化しない限り受け付けない意向を示したそうなのです。で、先に述べたとおり、日本推理作家協会は公貸権制度に消極的だったので、意見の一本化が実現できなかったのですが、この声明でようやく一本化が実現し、文化庁にあらためて要望するための環境を整えたというわけです。

公貸権制度導入推進派にとっては、文字・活字文化振興法の制定に引き続き、公貸権制度導入のためのステップをまた一歩進めたことになります。これで今後はますます公貸権制度をめぐる動向を注視する必要がありそうです。

なお、日本図書館協会は、本日付けのメールマガジンにおいて、「日本図書館協会は、共同声明で図書館への理解、協力を示されていることについては心から感謝するものであるが、「著作者等への補償制度」が「図書館の貸出しに対する補償金」との考え方をされていることについては賛成できない旨をかねてから表明している。文芸文化を護ることは、図書館も含めた国民の知的基盤にとって大事なことであり、そのために著作者、出版社など関係者との協力を強めていくものである」とのコメントを発表しています。従来の日本図書館協会のスタンスからみれば当然のコメントといえるでしょう。

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国立国会図書館のアーカイブ事業に関する質問主意書が!

衆議院ホームページには、「質問答弁」というページがあり、何かと話題の質問主意書とそれに関する経過、答弁をみることができます。

で、川内先生のブログ「正々堂々ブログ」に、私的録音録画補償金制度に関する質問主意書を出した、という記述があった(2005年10月27日エントリの「園遊会」)ので、それを見に行ったところ、その上に、「国立国会図書館近代デジタルライブラリー等のアーカイブ事業に関する質問主意書」(質問第34号)というものがありました。

本日現在、まだ衆議院のサイトに質問本文が掲載されていないので中身はわかりませんが、保護期間の延長反対の立場からのものなのでしょうか??

現在のところ、経過しか掲載されていませんが、中身が気になるところです。この「経過」によると、10月31日に内閣に転送されたとのことですので、11月14日までには答弁が出ることになると思います。

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諸外国の公貸権制度の調査報告が発行!

数年前から公貸権だとか公共貸与権だとかという制度の導入につき、主に日本文藝家協会あたりから要望が出されている状況のようで、日本ペンクラブの松本侑子氏なんかは、あの文字・活字文化振興法案のシンポジウムで臆面も無く制度導入を訴えていたわけですが、その公貸権の諸外国での制度について、著作権の専門家による調査が(社)著作権情報センター附属著作権研究所というところで行われていました。

そして今般、この調査報告が、同研究所から発行されたとのことです。
何でも同研究所に連絡すれば、誰でも無料で分けてもらえるらしいです。
みなさんも、ぜひ分けてもらい、読んでみましょう。

風のうわさでは、あの三田誠広氏がこの報告書の完成を待ち望んでいるとか。「どうです。ヨーロッパではこういう実績があるんです。日本もこの制度を導入しなければ、野蛮人と罵られますよ!」とでも言うつもりなのでしょうか(w

私の知るところでは、諸外国の制度導入の実態はお寒い限りのようなので、三田氏がこの報告書を読んで意気消沈するのでは、と、何だか心配になってきたりします。

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衆議院HPに文字・活字文化振興法案の要綱・本文がUP!

衆議院HPにて文字・活字文化振興法案の要綱・本文がUPされていました。
(なぜかどちらも冒頭に「一」という文字が無意味に記されています・・・)

文字・活字文化振興法案要綱(衆議院HPから)

文字・活字文化振興法案:本文・理由(衆議院HPから)

・文字・活字文化振興法案(第162回国会衆法第24号)審議経過(衆議院HPから)

コメントは、後ほど。

そういえば、日本図書館協会も同法案に関する声明を発表したようですね(Copy & Copyrightさん経由)。

日本図書館協会「文字・活字文化振興法案について」(2005/7/8)

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国会図書館「児童ポルノ」閲覧制限(朝日2005/7/17)

土曜日の朝日新聞にこんな記事が載っていました。

「「児童ポルノ」閲覧制限 国会図書館 納本義務で所蔵「摘発対象」指摘受け」34面
asahi.com
http://www.asahi.com/national/update/0717/TKY200507160368.html

何でも、今年4月に朝日新聞から指摘を受けて調べたところ、2002年にすでに児童ポルノ法違反の判決が確定していた出版物を閲覧・コピーさせていたことがわかり、あわてて利用禁止措置をとったんだそうです。

朝日新聞、そんなこともしてるんですね(笑)。朝日新聞が児童ポルノ摘発機関となった記念すべき瞬間(?)
今年4月の朝日の紙面には載っていなかったような気がしたのですが。

それで、「ほかにも漏れている可能性があるとして、同図書館は有罪、あるいは起訴された事件の写真集などの情報を法務省に求めたが、『リストアップしていない』と断られた。逆に、児童ポルノにあたる構成要件は法で明示されていることから、『図書館で判断できるはず。もし児童ポルノを提供しているとわかれば、摘発対象にもなりうる』と、自主的な対応を迫られた」らしいです。

法務省もムチャいいますねぇ。児童ポルノにあたる構成要件って、「衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ、又は刺激するもの」っていう、とても主観的なものです。どんな姿態をみて「性欲を興奮」「刺激」するかって千差万別ではないかと思うんですが・・・まさか国会図書館が何らかの委員会を開いて「いやぁ、この写真は性欲を興奮させるねぇ」とかって判断しろと?まぁ一億歩譲ってそれでよしとして、その後裁判で「この写真は児童ポルノではない」って確定したら、まさに「検閲」したことにならないんですかね?

先の最高裁判決では、「公立図書館は、住民に対して思想,意見その他の種々の情報を含む図書館資料を提供してその教養を高めること等を目的とする公的な場」と述べられています。そして、「そこで閲覧に供された図書の著作者にとって,その思想,意見等を公衆に伝達する公的な場」なので、「不公正な取扱いによって廃棄することは,当該著作者が著作物によってその思想,意見等を公衆に伝達する利益を不当に損なうものといわなければならない」と言っています。

利用禁止にするということは、先の最高裁判決にいう「廃棄」と同じく、「当該著作者が著作物によってその思想、意見等を公衆に伝達する利益を不当に損なうもの」だと思われます。また、住民がその資料を受けられないことも意味します。ある写真集等をもって図書館が自主的に「児童ポルノだ」と判断して利用禁止にするということは、その写真家がその写真を公衆に伝達する利益を不当に損ね、住民もその写真の提供を受けることができないことになります。

この記事では「法務省刑事局の風紀担当は『有罪認定されないと判断できないという言い分はおかしい』と話しているらしいのですが、図書館とその他の情報産業との役割の差についてあまりにも無理解です。図書館は住民に情報を提供する場であるとともに、著作者にとっては自らの思想・意見の伝達の場ともなっています。情報産業の方々は、いわば自発的に情報を提供しているだけなので、自主的に判断して情報を提供しないことも許されるでしょう。しかし、図書館は前述のような役割を担っているので、自主的に判断して見せないということは、住民が情報を受け取る機会や著作者が情報を伝達する機会を失わせることになり、極めて問題です。

この記事によると、国会図書館は、「表現の自由との兼ね合いから、『検閲のようなことは難しい』としながらも、法の構成要件や判例を参考に該当しそうな写真集や雑誌を今年中にリストアップ。個別に全国各地で有罪認定か起訴されていないかを調べ、該当すれば内規に従って利用禁止、そうでないものについても、今後、違法性を問われるおそれがあれば何らかの制限を検討するという」とあります。該当しないものにも何らかの制限を検討するという書き方をしています。

私は、「児童ポルノに該当すると裁判で確定、あるいは係争中の資料」について、閲覧やコピーを禁止できるようにしているという、現在の国会図書館の内規の取扱いが妥当だと考えます。不用意な制限は何らいい結果を生まないと思います。

国会図書館の運用は他の図書館に波及しやすいので、このような国会図書館の運用を求める声が広がらないことを願っています。

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著作者に「権利」が認められたのでしょうか?

朝日37面の記事で、原告側が「著作者の新しい権利が認められた」って言ったらしいです。
これって本当でしょうか・・・?もし本当だとすると、「権利」というからには、蔵書の著作者が図書館に対して無断で廃棄されない権利を裁判所が認めたことになるんですけど・・・。

早速、判決文を確認してみると・・・。
「公立図書館の図書館職員が閲覧に供されている図書を著作者の思想や信条を理由とするなど不公正な取扱いによって廃棄することは、当該著作者が著作物によってその思想、意見等を公衆に伝達する利益を不当に損なうものといわなければならない」「公立図書館において、その著作物が閲覧に供されている著作者が有する上記利益は、法的保護に値する人格的利益であると解するのが相当であり」となっていて、「権利があると解するのが相当である」などと述べた箇所はまったくありません。

つまり、この判決では、「図書館が無分別に図書を廃棄する行為は、当該図書の著作者の人格的利益の侵害に該当する」しか言っていないわけです。「権利」となると、何やら著作者が廃棄を止めさせるよう請求できたりするような感じがしますけど、そんなことは一言も述べられていません。

このことをきちんと確認しておかないと、今後、ある図書館で自らの著書が廃棄されたときに、「船橋の判例を知ってるだろう?著作者に断りなしに著書を廃棄したら権利侵害になるんだからな」などと言われかねませんし、図書館側でも「あ、そうなんですか、すみません・・・。これからはきちんと連絡するようにしますので・・・」などという対応をしかねませんから。

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今朝(7/15)の朝刊各紙(船橋市立図書館蔵書廃棄事件)

昨日出されました船橋市立図書館蔵書廃棄事件最高裁判決ですが、今朝(7/14)の朝刊各紙にも掲載されていました。

・「蔵書廃棄 自由の番人でいる重さ(社説)」朝日3面
・「蔵書廃棄訴訟勝訴 原告「新しい権利」」朝日37面
・「図書独断廃棄 著作者の利益侵害 最高裁差し戻し 「つくる会」逆転勝訴」産経1面
(「図書館の公共性重視に意義(視点)」という赤堀記者による解説あり)
・「図書廃棄訴訟 多様な言論支える判決だ(主張)」産経2面)

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判決文が公表(船橋図書館蔵書廃棄事件)

最高裁HPに判決文が掲載されました。

平成17年07月14日 第一小法廷判決 平成16年(受)第930号 損害賠償請求事件

コメント等は、のちほど。

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