私的録音録画補償金制度と国会議員

昨日は政令指定機器拡大賛成派の議員の発言を紹介しましたが、本日は拡大に反対する議員の発言を紹介。

世耕弘成参議院議員(自民)
7月21日(木):世耕日記
http://blog.goo.ne.jp/newseko/d/20050722
「私的録音に対する一定の著作権料の支払いは必要だと考えるが、現行の補償金制度は複雑で不透明だ。消費者がMD等の機器代に上乗せして徴収されている補償金の20%が、「広報」とか「啓発」といった訳の分からない事業に使われていることも問題である。制度自体がフィクションの上に成り立ったどんぶり勘定だ。著作権者本人に正当な計算に基づいて、透明に分配されていない。ネット配信の普及、デジタル著作権管理技術(DRM)の進歩等、急速に進みつつある環境変化を踏まえた新しい制度を構築せずに、現行制度温存のまま、対象機器の拡大を議論しても意味がない。現行制度はMDと共に消え去るべきだ。」

川内博史衆議院議員(民主)
2005年6月14日
私的録音録画補償金制度
http://blog.goo.ne.jp/kawauchi-sori/e/726f196fb5fd3188e4971cc85d790c3f
「著作権法1条の目的である、文化の発展に寄与する為に著作権が権利者に付与されていることに照らせば、私的録音録画補償金制度は制度自体に大きな問題があり、デジタル技術の発展によって、この制度は「都度+個別+直接」の本来著作権法が予定しているビジネスモデルに変えていくことが、必要なのでは」

党派は異なりますが、ご両人とも同趣旨のことをおっしゃっています。
デジタル技術が発展しているのであるから、現在のような「どんぶり勘定」のような制度ではなく、課金コントロールによって著作権使用料を徴収すべきだ、ということです。

でも、デジタル技術を用いた課金システムが完成するまではどうなるかについてはよくわかりません。いったん現行制度は廃止するのか、それとも現行制度は存続しておくのか、存続するとすれば対象機器は凍結か、拡大か、どうなんでしょう?どうも存続っぽい感じがしますケドも。

一昨日(2005.7.20)の大谷信盛議員のご発言は、この間隙を突いて、デジタル技術を用いた課金システムが完成するまでは現行制度を存続し、そのうえで対象機器を拡大せよ、っていう内容でした。

それではワタクシはどう考えるのかですが、デジタル技術を用いた課金システムも、現行の補償金制度も、どちらも不要、即刻廃止せよ、という立場です。

理由は簡単です。以上の議論では、「音楽の著作物の利用者=リスナー」という前提ですが、この前提自体おかしい。「音楽の著作物の利用者=音楽産業」です。なぜ最終消費者であるリスナーがお金を払うということが所与の条件になっているのか、情報を入手するには必ず対価が伴うのか、ということが疑問です。

三田誠広氏あたりがしたり顔で「作品を読むには対価が必要です」なんてことをおっしゃいますが、違います。作品を読むのに必ず対価が伴うというのは、誤解です。作品を使って「商売する」には対価が伴うのです。

著作権制度がどうして出てきたか。作品が勝手に売られ、売り上げが作者に一銭も入らない。それは不合理だ。だから作者に対し、売り上げから対価を得ることができる「権利」を与え、そのような不合理な状況にならないようにした、そういうことでしょう?つまり、著作権制度は、売り上げの分配ルールとして誕生したのです。情報の対価なんていう考え方はまったくありません。

それがいつしか、あたかも情報の対価が著作権料だなんていう業界に都合のよい論理が登場してきて、今では「情報にアクセスするには対価が必要だ。だから広く浅く対価を徴収するシステムが必要だ」などと言われるようになっています。

いいかげん、ユーザーを矛先にするのはやめましょうよ。作者は情報流通業界にプロテストすべきであって、情報流通業界と手を組んでユーザーいじめをしている場合ではないのではないですか?

そういうわけで、ユーザーから課金をするという案には私は絶対反対です。

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7/20衆・文部科学委員会での私的録音録画補償金関係の質疑(メモ)

 朝日新聞の2005年7月21日付け24面に「デジタル複製と著作権 衝突する利益 下」という記事が掲載されていました。これは2005年7月20日付け33面の「デジタル複製と著作権 衝突する利益 上」の続きです。ともに赤田康和記者のご担当です。前回が「ファイル交換 自由と保護 揺れる着地点」という記事、今回は「補償金制度 矛盾浮き彫り批判の声」という記事で、まさに最先端の著作権問題を取り扱っています。

 で、全体の論調としては、「著作権保護一辺倒ではなく、公正な利用とのバランスも考えましょうよ」という、極めて真っ当(私はそう思います)なスタンスです。

 そんな記事に、以下のような記述があったので、早速衆議院TVで発言をチェックしたのでした。
「国会も関心を示し始めた。民主党の大谷信盛・衆院議員は20日、衆院・文部科学委員会で質問した。」
 
 てっきり「私的録音録画問題を文化庁で検討しているようだけれども、権利保護一辺倒にならず、公正な利用とのバランスを踏まえて検討するようにしていただきたい」とかなんとかおっしゃっているのかと思えば、まったく逆でして、この方も同党の「あの」高山智司議員と同じでアーチスト・クリエーターの味方のようで、一方的な立場から著作権制度をお眺めのご様子です。(彼らに共通なのは、レコード会社や出版社のような情報伝達者の立場に立っていないということですが)

 以下に質疑内容をメモしておきます(内容の真正さは保障しませんので・・・)
 (以下、大:大谷議員、加:加茂川文化庁次長)

大:・・・今一番議論になっているのは、いわゆる私的録音録画補償金制度、著作権法の30条ですよね、補償金制度という問題なんですけれども、これは来週あたりにもう1回小委員会をやってですね、それでもって議論の方向性が出てくるというふうに聞いておるんですけれども、6月30日に第5回目の議論がされたと思っておるんですが・・・文化審議会著作権分科会法制問題小委員会5回目が6月30日でした。これの各委員さんの議事録なんかを読ませていただきますと、ほとんどの委員さんが拮抗していて、例えば、いわゆる一番の問題でありますハードディスク内蔵型録音機器をですね、30条に照らし合わせてですね、他のMDのプレーヤーなんかと同じように政令で組み込むのか組み込まないのかと、これがいいか悪いかという議論がされているんですけれども、私なんかはもう読んでてですね、前田委員のおっしゃっていることが一番わかりやすくですね、いわゆる録音機器というのはですね、今までのものとは違って、音楽も入るけれども、いわゆる日程も入るし、ビジネス情報も入れられると。これ、コンピューターかもしれない。こっちからみたらやっぱり音楽の録音機器じゃないかと。音楽を作った人たちに大きくラフに、著作権をお支払いしなければならないんじゃないかと。どっちから見ているかで全然結論が違っちゃうって思うんですね。しかしながら、売られているのはですね、音楽を楽しみましょうっていうことでですね、売られているわけですから、私はそれなりに、この私的録音補償金制度がある限りにおいてはですね、入れるべきだと。しかしながら、デジタル化が進んでいく中ですね、個別に曲に課金ができていくような技術進歩がどんどんしてきているわけですから、ただ単に入れるんじゃなくて、同時にですね、そういう将来像も描いた中で、いわゆる著作権を、クリエーター、アーチストを守っていくようなことをしていかなければならないっていうふうに思うんですけれども、その辺は、入れる入れないだけの議論じゃなくてですね、大きく考えると、どのような考えてこの議論をリードされているのか、というところが一番知りたいところでございます。

加:ご指摘のハードディスクを内蔵する携帯型の音楽プレーヤーについての私的録音補償金制度との関係についての課題でございます。現在、文化審議会著作権分科会の法制問題小委員会、委員ご指摘のように、日程ももう何回か繰り返して議論しておりますが、この小委員会におきまして検討しているところでございます。この検討に先立ちまして、「著作権法に関する今後の検討課題」というのを整理させていただきまして、その中の課題の1つとして、委員ご指摘の、そのハードディスク内蔵型録音機器等を補償金制度の対象に加えるかどうかという課題があるわけでございます。一部の方々が、権利者サイドを中心にして、当然対象に加えてしかるべきだ、クリエーターやアーチストの権利を守るべきだという意見が強いことも十分に承知しておりますが、現在の法制問題小委員会の検討状況をお伝えいたしますと、私どもは権利者のみならず製造者の代表にも出席をいただきまして、双方からご説明を受け、各委員から意見交換・質疑応答等を行っていただいたわけでありますが、この件に限って申しますと、政令指定機器に加えるべきかどうかは、様々な意見が出ておりまして、賛成意見だのみならず、慎重な意見も数多く出されておるというのが現状でございます。まだ結論が得られておりませんので、今後の小委員会での検討を待たなければなりませんけれども、私どもとしましては、やはり関係者の広く意見の一致する方向で、法整備又は法改正といった大きな課題に結びつくものですから、慎重な協議のもとに関係者の意見の一致する方向でまとめていきたいという基本線を持っておるわけでございます。

大:この制度ができた平成5年に比べて技術革新が進んでですね、私は制度自体が古くなってきたっていうふうに思っておりますから、川内委員なんかがいつもおっしゃっているようにですね、クリエーター、この方が権利者でありまして、そして我々消費者っていうものの距離が短くなればなるほどすばらしいわけでありまして、そのための、デジタル化のもとでの新しい枠組み、ビジネスモデルっていうものをですね、公平な著作権のビジネスモデルっていうものを議論しつつ、この制度がある限りはやっぱり音楽を録音して聞くんですから私は入れるが一番誰にでも分かる公平な法の解釈ではないのかな、というふうに思っております。いずれにせよ、闊達な議論のもとですね、デジタル化していく中、この音楽の録音だけにかかわらず、他の分野にでも似たようなことが一杯出てくると思いますんで、その先鞭をつけるような気持ちでですね、広い議論のもとに、ご判断をしていただきたいと、いうふうに思います。

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