« September 2009 | Main | January 2010 »

西日本新聞の投稿記事

西日本新聞に写真家の島尾伸三さん(「女子高生ゴリコ」の作者のしまおまほさんのお父さんでもあります)が、H21著作権法改正による37条3項の改正について触れた投稿をされていました。

島尾伸三「録音図書 多くの人に恩恵を(本の森)」西日本新聞H21.11.15
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/book/column/20091115/20091115_0002.shtml

この投稿の興味深いところは、録音図書を健常者が利用できるようになる、ということを強調なされていることです。

もちろん「健常者」と言っても、「識字能力の低下などで読書をあきらめていた人」や「誰もが等しく年をとり、いつかは視力低下におちいるわけですから」とあるように、高齢による視力低下が進んでいる人、という、改正後の著作権法37条3項にいうところの「その他視覚による表現の認識に障害のある者」の利用のことをおっしゃっているわけですが。

まさに今回の法改正のねらいの一つについて的確に評価されているものといえましょう。

現在、権利者側との間で、改正後の著作権法37条3項の運用のためのガイドライン作りが進んでいると聞きますが、権利者団体の方も、このような著作者の立場にある方からの声も踏まえつつ、より幅広く運用できるような形でのとりまとめをお願いしたいと思います。

| | Comments (52) | TrackBack (0)

文化庁著作権課が政令案を公表できない理由とは...

前回、著作権法施行令の一部を改正する政令案が現在パブコメ中なのですが、概要のみの公表にとどまり、案文そのものが出されてない、何やってんの文化庁著作権課、と書いたワケですが。

その理由が分かりました。
何でも、法制局との細かい詰めが終わっていないんだそうです。そりゃ外に出せないわな・・・。
細かい詰めを早く終えられて、政令案を早く公表するようお願いしたいものです。

「所要の改正」って言われてもどういう改正されているのかわからないじゃないですか〜文化庁著作権課さん!

あと、他のブログでも言及されているようですが、1箇所誤記らしい箇所があるようです。

「聴覚障害者」と書くべきところ「視覚障害者」と書いてある箇所があります。(I1.(2)の1つ目の○にある「視覚障害者等のために」の箇所)

| | Comments (43) | TrackBack (0)

政令案公示開始、少し安心...とはいえ...(障害者関係著作権法改正関係)

前々回、以下の投稿をして、せっかく対象施設の範囲が広がるはずが政令の段階で従来どおりの範囲とされるかも、との危惧を表明しました。

「障害者サービス関係著作権法改正の「骨抜き」画策か?」
http://gomame.cocolog-nifty.com/library_copyright/2009/09/post-2b22.html

で、政令案の中身がどうなるのか心配していましたが、結論から言うと、杞憂でした。少し安心...。

ただ、視覚障害者サービス関係では「少し安心」ですが、聴覚障害者サービス関係は、字幕と手話の作成ができる施設の範囲について、ほぼ従来ベースで、公共図書館等が含まれていません。なぜか第2号の映像付きの字幕・手話の作成には含まれているんですが。(国立国会図書館と大学図書館はこちらにも含まれていません。どうなってるんでしょう?)

「著作権法施行令の一部を改正する政令案に関する意見募集の実施について」(e-govのページ)
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=Pcm1010&BID=185000442&OBJCD=&GROUP=

このページに、以下の政令案の概要(PDFファイル)が掲載されていました。
「著作権法施行令の一部を改正する政令案の概要」(e-govのページ)
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=Pcm1030&btnDownload=yes&hdnSeqno=0000058193

以下に障害者サービス関係のところだけ採録しておきます。
----------
著作権法施行令の一部を改正する政令案の概要

 「著作権法の一部を改正する法律」(平成21年法律第53号。一部を除き、平成22年1月1日施行)の施行に伴い、著作権法施行令について必要な規定の整備等を行う。
(施行期日:平成22年1月1日)

Ⅰ 障害者福祉関係(法第37条第3項、第37条の2)

1.政令委任事項
 改正後の著作権法(以下「法」)第37 条第3項及び第37 条の2では、「障害者の福祉に関する事業を行う者で政令で定める者」が、視覚障害者等向けの録音図書の作成や聴覚障害者等向けの映画字幕の作成等を行うことができる旨規定。

2.改正内容
(1) 視覚障害者等のための複製等が認められる者(法第37条第3項関係)
○ 以下の施設を設置して視覚障害者等のために情報を提供する事業を行う者を一般的に定める。
 ① 児童福祉法第7条第1項の知的障害児施設及び盲ろうあ児施設
 ② 大学・高等専門学校に設置された図書館及びこれに類する施設
 ③ 国立国会図書館
 ④ 身体障害者福祉法第5条第1項の視聴覚障害者情報提供施設
 ⑤ 図書館法第2条第1項の図書館
 ⑥ 学校図書館法第2条の学校図書館
 ⑦ 老人福祉法第5条の3の養護老人ホーム及び特別養護老人ホーム
 ⑧ 障害者自立支援法第5条第12 項に規定する障害者支援施設及び同条第1項に規定する障害福祉サービス事業(生活介護(第6項)、自立訓練(第13 条)、就労移行支援(第14 項)又は就労継続支援(第15 項)を行う事業に限る。)を行う施設

○ その他の条件として、
 ・ ①、④及び⑧を設置する者については、非営利目的の法人に限定。
 ・ ⑤については、司書又はこれに相当する職員として文部科学省令第1条の3で定める職員を置いている図書館に限定。また、その設置主体を地方公共団体又は公益社団法人若しくは公益財団法人に限定。

○ ①~⑧の施設を設置する者のほか、視覚障害者等のために情報を提供する事業を行う法人(法人格を有しない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものを含む。)のうち、「視覚障害者等のための複製又は自動公衆送信を的確かつ円滑に行うことができる技術的能力、経理的基礎その他の体制を有するものとして
文化庁長官が指定するもの」を定める。

(2) 聴覚障害者等のための字幕等の作成・自動公衆送信が認められる者(法第37条の2第1号関係)
○ 身体障害者福祉法第5条第1項の視聴覚障害者情報提供施設を設置して視覚障害者等のために情報を提供する事業を行う者(非営利目的の法人に限る。)を一般的に定める。

○ 上記のほか、聴覚障害者等のために情報を提供する事業を行う法人(法人格を有しない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものを含む。)のうち、「聴覚障害者等のための複製又は自動公衆送信を的確かつ円滑に行うことができる技術的能力、経理的基礎その他の体制を有するものとして文化庁長官が指定するも
の」を定める。

(3) 聴覚障害者等のための字幕や手話付きの映画の作成・貸出しが認められる者(法第37条の2第2号関係)
○ 以下の施設を設置して聴覚障害者等のために情報を提供する事業を行う者を一般的に定める。
 ① 大学・高等専門学校に設置された図書館及びこれに類する施設
 ② 身体障害者福祉法第5条第1項の視聴覚障害者情報提供施設
 ③ 図書館法第2条第1項の図書館
 ④ 学校図書館法第2条の学校図書館

○ その他の条件として、
 ・ ②を設置する者については、非営利目的の法人に限定。
 ・ ③については、司書又はこれに相当する職員として文部科学省令第1条の3で定める職員を置いている図書館に限定。また、その設置主体を地方公共団体又は公益社団法人若しくは公益財団法人に限定。
 ・ 全てについて、法第37 条の2第2号の規定の適用を受けて作成された複製物の貸出しを文部科学省令で定める基準に従って行う者に限定。

○  ①~④の施設を設置する者のほか、聴覚障害者等のために情報を提供する事業を行う法人(法人格を有しない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものを含む。)のうち、「聴覚障害者等のための複製を的確かつ円滑に行うことができる技術的能力、経理的基礎その他の体制を有するものとして文化庁長官が指定
するもの」を定める。

----------
というか、政令案の案文自体が未公表なんですけど・・・。案文がなくてどうやって意見を言えっていうんでしょうか、文化庁著作権課さん!

他のところも図書館的には注目しなければならないところがあるので、また投稿します。

追記(2009.11.16)
「第2号の映像付きの字幕・手話の作成」に「国立国会図書館と大学図書館」が含まれていない、と書きましたが、よく読んでみますと、大学図書館は含まれていました。このため、ここの部分を削りました。国立国会図書館が含まれていない事情としては、同館にこのサービスをする意思がないとして同館から要望がなかったということが考えられますので、別に文化庁なりを責める理由にはならないからです。

| | Comments (14) | TrackBack (0)

『コピライト』誌のH21著作権法一部改正法の解説、越年になります!

 著作権に関する様々な事業を行っている社団法人著作権情報センターが発行する『コピライト』という月刊誌(原則会員のみ頒布の非売品)があります。

 同誌には、同センターが毎月主催する著作権関係の講演会の講演録や、最近の内外の著作権に関する動向の紹介、国内外の著作権に関するトピックの解説記事、判例解説などが掲載されており、著作権を研究している人なんかには必読だったりします。

 そんな同誌の最大の売りの一つに、最近の著作権法改正に関する文化庁著作権課の法規担当者による詳細な解説記事があります。これまでは、法改正の数ヶ月後には必ず掲載されていました(唯一の例外が、H16年法改正のときで、著作権課長による講演録で代用されていました。やはりあの悪評高い(?)H16年法改正だったからでしょうか・・・)。

 それで、今回の法改正でも、当然、その解説記事が載る予定になっており、同誌の6月号(だったと思いますが)にも「10月号に掲載される予定となっている」との予告まで出されていたのでした。

 ところが、11月号になっても掲載されていません。これはいったいなぜ?
 11月号には、山下前課長による講演録が掲載され、その中で若干法改正にも触れられています。しかし、その内容はお世辞にも十分とは言えない内容で、文化庁HPに掲載された法改正の解説を超えないようなシロモノでした。とても、「史上最大の法改正」(by山下前課長)(←うろ覚えなのでちょっと違っていたかもしれません)の内容を理解するのには事足りない内容で・・・。

 で、同センターの知人に、雑談がてら尋ねてみたところ「いやぁ、あれは原稿が出てこないんですよ。困ってるんです」とのこと。つまり、やはり10月号の掲載が予定され、編集部から原稿執筆依頼が文化庁著作権課に出されていたっていうことのようです。

 それで、12月号の校正はもう終わっているので、12月号にも掲載されないことになっている、早くて1月号だ、というのです。

 1月って、もう改正著作権法は施行されているんですけど・・・。
 あんな大規模の法改正について、きちんと解説されないまま施行してもいいんですかね。

 で、やはりその理由は、政令案がなかなか公表されない理由と一致しているんじゃないかと。7月にあれだけ大きな異動をするから、うまく内容の引き継ぎがなされず、その結果として政令案の作成に時間がかかっている、と。(余談ですが、11月号の講演録で山下前課長が「もっとやりたかったのに異動になった」みたいなことを発言されていたのですが、この異動には何かウラがあったのでしょうか)

 漏れ聞く話によると、現在の文化庁著作権課の幹部が今回の法改正の中身について批判的で、そのために6月の法改正の趣旨に沿った政令案を作成することに消極的ということもあるようです。このまま政令も1月1日に間に合わなかったりすると、いったいどうするつもりなんでしょうかね、文化庁著作権課さんは。

| | Comments (12) | TrackBack (0)

« September 2009 | Main | January 2010 »