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自民党案の全貌【国会図書館の独法化問題】

昨日のエントリにコメントをお寄せくださった方が、自民党案へのリンクを教えてくださったので、早速読んでみました。
国会事務局等改革に関する提言
http://www.jimin.jp/jimin/gyo/katsudou/h18/180210.pdf

ううむ、これはすごい・・・。
国会図書館、ずたずたです。
調査機能が衆参の委員部に合体させられた挙げ句、現場として独法に「調査室」というものを残すらしい。
あと、子ども図書館と関西館が跡形もありません。昨日ご紹介した自民党の機関紙によれば、「わが党が強力に推進」して設立したはずのこの両施設を廃止ですか。自民党のご都合主義、すごすぎです。

報道によれば、扇千景参院議長は、この案の提出を大歓迎なされたとのことで、5年前に出されるべきだったなどとおっしゃったらしいですが、5年前に扇議長の友党であった自民党が、国会図書館の拡大化を党として推進していたことをお忘れのようです。

人の記憶って、本当にはかないものなんですね。
文献(資料)による裏付けの重要さがわかるような気がします。とすると、出版物を永久保存する意義というものも重要になるわけですが、まさか都立のように「永久保存しなくていい」ってことにはならないですよね?

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「図書館」カテゴリの記事

Comments

文字・活字文化振興法についても、自民党の「クローズアップ・あなたの生活こうなります」(党機関紙「自由民主」・2005年12月20日)に掲載されています。
http://www.jimin.jp/jimin/closeup/2212/closeup.html

活字文化の振興に向けて、「公立図書館」の整備促進を目指すということで、「国立図書館」の縮減を目指す現在の自民党の政策とは、矛盾しないのかも知れません。

もっとも、「文字・活字文化振興の流れ」の中には、国会図書館の「国際子ども図書館開館」も記載されていますが…
http://www.jimin.jp/jimin/closeup/2212/02.html

Posted by: 立ち読み人 | February 25, 2006 at 11:46 AM

> 立ち読み人 さま
いつもありがとうございます!

確かに、国立国会図書館は「公立図書館」ではありませんから、「国立図書館」の縮減を目指す現在の自民党の政策とは矛盾しないのかもしれませんね。

でも、活字文化の振興を目指すんでしたら、出版物の網羅的収集と永久保存を行うという「納本制度」が十全に働くような環境整備が必要のはず。「現行の国立国会図書館法に基づく業務をベースにスリム化を図る」ことで弱体化しないかどうか心配です。今でも全部は集められないっていいますし、政府機関じゃなくなったら納本拒否続出ってことになりませんかね?

まぁ、この案をまとめた坂本議員っていう人には、そんなことはどうでもいいんでしょうけど。

またよろしくお願いします!

Posted by: gomame | February 25, 2006 at 03:17 PM

議員(もしくは秘書)なんて、バカばっかりだから、ろくに文献を調べずに、参院第2別館の3階だか4階だかにいる、政府控室にいる霞が関の連中に連絡して資料要求をして、官僚が作ったポンチ絵で情報を得ようとしているんだろ。情報の内容は、情報源の意図に左右されるものだが…。

下手すると、衆院調査局の調査員も、霞が関の役所に「速やか対応!」って言って、資料要求してくるしなあ。議員から、てめえが調査しろって依頼されているのにさあ。
そんな資料要求ばっかすると、政府控室に頭があがらなくなるってえのに。

どこに聞けば確かな情報があるか、知りたい情報を(その情報について都合の悪い人間に邪魔されずに)迅速に入手するために、日ごろから情報をリサーチすることの重要さを認識していないんだろうなあ。国会図書館を利用すれば、難なく可能になることが多いと思うのだが(行政の内部情報など、生身の人間が持っている情報を、「人間力」で情報を入手することには弱いが)。

議員(もしくは秘書)の情報収集能力って、わけも分からずに、所管官庁に電話してクレームを言って、昼間の官僚の役人の仕事の邪魔をする一般国民と大して変わりないんだよねえ。権威がある点で、多少は有利だが。

マニアックなクイズ的な答えを、レファレンスサービスで、国会図書館に聞こうとするやつはいても、日本の今後の政策について聞くやつはなかなかいないだろうしなあ。議員も含めて。

日本がそんな風になったのは、小中高でまともに図書館利用教育をしていないのと、図書館全体の政策を行う国の機関がないからだろうなあ。
「国立図書館」は国立国会図書館、「公立図書館」は文科省生涯学習政策局社会教育課、小中高の「学校図書館」は同省初等中等教育局教育課程課、「大学図書館」は同省研究振興局情報課、専門図書館に至っては訳が分からないからねえ。
うんで、現場の声を、それらの機関が吸い上げて、政策に生かしているわけでもなさそうだし…

一応、日本図書館協会は文科省社会教育課が所管しているけど、同課はそれほど面倒見ているわけではなさそうだしねえ(公立図書館以外は関係ないから?)。

結局、今回の独法化騒ぎは、終戦直後に、アメリカをモデルに議会制民主主義を目指して、国会の調査能力を高めるために、国立国会図書館や同館調査及び立法考査局を設けたものの、日本の政治と国民のレベルには合わなかったということだろうなあ。
ミスマッチングであれば、合理化をするというのは、確かに一計だが。

この国の未来は、明るいなあ~

Posted by: プロ国民 | February 25, 2006 at 05:30 PM

修正
参院第2別館→参院別館

Posted by: プロ国民 | February 25, 2006 at 05:30 PM

>でも、活字文化の振興を目指すんでしたら、出版物の網羅的収集と永久保存を行うという「納本制度」が十全に働くような環境整備が必要のはず。「現行の国立国会図書館法に基づく業務をベースにスリム化を図る」ことで弱体化しないかどうか心配です。今でも全部は集められないっていいますし、政府機関じゃなくなったら納本拒否続出ってことになりませんかね?

今でも、うちの課の印刷物や報告書を納本していないけど、何か?

国会図書館で下手に読まれて、国会質問や問い合わせをされると、うざったいしねえ。

文句があるなら、過料事件通知書の一つや二つ、裁判所にバッチ送ってみろよと言いたい。
国会図書館の職員にとっては、余計な仕事ができてめんどくさい→過料事件通知書を送らない→納本拒否してもお咎めなし→納本しない、という悪循環になるのだろうが(爆)

Posted by: 某省職員 | February 25, 2006 at 06:01 PM

> プロ国民 さま
コメントありがとうございます。
まぁ要するに、そういうことなんでしょうね。
とはいえ、議員にそういうサービスができることを知らしめていない国会図書館側もバツなんでしょうけど。

> 某省職員 さま
コメントありがとうございます。
法令に根拠規定があるのを知ってなぜ送らないのでしょう?
だから行政は秘密主義だとか伏魔殿とか(そりゃ外務省か)っていわれるんじゃあ?いいかげん態度改めた方がいいのではないかと。どうせネットでpdfファイルでわざと読みにくいように公開してるんでしょ。

> 文句があるなら、過料事件通知書の一つや二つ、裁判所にバッチ送ってみろよと言いたい。
行政機関に「過料」・・・アンタ本当に「某省」の職員?たんなるニートなんじゃあ・・・(w

Posted by: gomame | February 25, 2006 at 09:23 PM

うちでは逆に、なるべく納本しているよ。ただし、上司には確認せずに。下手にあげると、ダメだと言われるからねえ。某革新政党からは、毎年資料要求で、ちゃんと国会図書館に納本しているんだろうなあ、って言われているのにさあ。どうせ上司は、NDL-OPACで本を検索したり、日本全国書誌で納本されたものを確認したり、国会図書館を利用することもないから、永久にばれることはないだろうが(笑)。

国会図書館からは、うちの省の図書室を通じて、いろんな本を貸してもらって、世話になっているからねえ。うちの省で知っている人間はあまりいないから、いつも借り放題だが。

あと、省の図書室を左遷先にして、定年までの飼い殺しの部署にするのはやめてほしいよねえ。意欲ある司書志望者の採用を差し置いてさあ。まあ、図書室が主に、昼休みの職員の居眠り場所としている時点で、図書室の位置づけが明白になっているが…

Posted by: 万年パシリ | February 26, 2006 at 05:16 PM

> 万年パシリ さま
コメントありがとうございました!
国会図書館に納本なさるということは、国民への利用がおそらく永久的に保障されるということを意味するわけで、とても貴重なことだと思います。国会図書館の担当の人は「仕事増やすなよ、タリーナァ」って思っているかもしれませんが(爆)、図書館界の一員として深く感謝いたします。上司の目をかいくぐって今後ともぜひ納本していただきますよう、お願いします。

あと、いくら支部図書館制度を充実しようと国会図書館ががんばっても、肝心の省庁の方が「居眠り場所」程度の認識しかないんでしたら、これはどうしようもないですね。図書室が左遷先って、公共図書館と一緒・・・独法化したら衆参のヘタレ職員がどんどん国会図書館に流れてくるかもしれませんね〜。やれやれ。

Posted by: gomame | February 26, 2006 at 06:24 PM

はじめまして、gomameさま。こちらで著作権の勉強をさせていただいています。

ところで、国会図書館の独法化をだいぶ取り上げられていますが、公立図書館の指定管理者制度の導入は、図書館界ではどのように取り組んでいるのでしょうか?もちろん、日本図書館協会などでは、図書館政策に参画されているんですよねえ?

以下のような文章を読むと、ちょっと?となります。
------------------------------------------------
指定管理者制度とこれからの図書館運営のあり方

平成16年7月23日、文部科学省は、構造改革特区第5次提案に対する大阪府大東市の「指定管理者制度を活用する公立図書館の館長・専門的職員等の設置規制の弾力的運用」提案について、「現行の規定により可能」とし「指定管理者を活用する図書館においては図書館法13条第1項に定める館長の必置規定(図書館法13条第1項及び図書館の設置及び運営上の望ましい基準二(八)に定める専門的職員等の設置の規定)を弾力的に運用することとし、指定管理者となった者が地方公共団体の条例で定める範囲内で、全体的かつ包括的管理運営の実施を可能とする」と回答した。

【中略】

3.指定管理者制度を公立図書館に適用する疑問
 第1には、大阪府大東市の提案に対する文部科学省見解は、図書館法及び地教行法の解釈の変更を超えるものであり、到底納得できる内容となっていない。指定管理者制度を規定した地方自治法は一般法であり、公立図書館の設置の根拠となる図書館法は個別法であり、当然、個別法は一般法に優先して適用される。したがって、公立図書館の運営にあたっては、図書館法第13条に規定する館長並びに専門的職員(司書)配置、地教行法第30条(教育機関の設置)、第34条(教育機関の職員の任命)が前提とならなければならない。
公立図書館への指定管理者制度適用は、図書館法等の改正ぬきには説明のつかないものとなっている。
(東京の図書館をもっとよくする会
  motto-library.cocolog-nifty.com/ohashi.doc)

-----------------------------------------------------
図書館の所管課(文部科学省社会教育課でしたっけ?)がこんなレベルだから、図書館も困っているのでしょうか・・・

Posted by: ねむりん | March 11, 2006 at 08:30 PM

お久しぶりです。
毎日新聞3月20日朝刊で、「闘論:国会図書館改革 坂本由紀子氏/成田憲彦氏」っていう記事があったので、ご紹介します。
坂本由紀子氏は、元労働省官僚の参院議員で、自民党行革推進本部で行っている国会図書館改革の中心人物です。
一方、成田憲彦氏は、元国会図書館職員で首相秘書官もされた方で、現在は駿河台大学の副学長です。

http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/gyousei/news/20060320ddm003070117000c.html

この中で、坂本参院議員曰く
「国会図書館の職員は過去10年で1割以上増えた。他では考えられない肥大化だ。1948年の設立以来、ほとんど組織が見直されず、第三者のチェックも入らなかったからだろう。組織全体を見直し、独立法人化することが必要だ。」
ってされているのは、gomameさんがおっしゃっていた「国会図書館の拡大路線」を突いたものなのでしょうね。

あと、「図書館長は「三権の長」を調整する役割が期待された時代もあったが、今は衆参事務総長の天下りポストだ。」
ってありますが、事務総長を国会図書館長に任命するのは衆参の両院議長で、衆参の議院運営委員会と協議して決めていることですよねえ(国立国会図書館法4条1項)?そんな館長を選んだ議長と議運委員の責任はどうしてくれるのでしょうか?

また「図書館の組織を見直しても、国会の立法機能が弱体化することはない。例えば衆院憲法調査会は民間のシンクタンクも利用しているし、政策秘書の導入など国会議員の立法作業に対する支援は増えている。」
と言っていますが、自民党の民間シンクタンクがポシャッタのはgomameさんのエントリにある通りですし、政策秘書だって、特例措置で、長年議員の下働き秘書をして、法律を知らない人がなっている「第3秘書」や、下手すると秘書給与詐取のツールにもなっていますので、期待はできないと思います(つうか、言っている坂本議員が一番ご存知と思いますが)。

さらに「国民に対しても、貸し出しや利用時間でサービスの向上を図る余地は十分ある。」
としていますが、「貸し出し」というところ、坂本議員はステレオタイプな図書館を国会図書館に求めているのでしょうか(つか、典型的な受験エリートで、まともに図書館を利用したことがないかも)?国会図書館では、保存の観点から、貸出しは行っていませんから。

「組織を抜本的に見直さなければ、社会保障などで厳しい負担を強いられる国民に申し訳ない。」
に至っては、国民から巻き上げた失業保険で、ろくに国民に仕事や社会給付を与えずに「私のしごと館」という無駄なものを建てたり、既に失業保険で建てた「中野サンプラザ」などをタダ同然で売り飛ばした、坂本議員が係った労働行政の方が、よっぽど国民に申し訳ないと思います。

元国会図書館員の成田駿河台大学教授がおっしゃるように、国会図書館は戦前の官僚制を反省し、戦後の民主化政策の中で作られたものだと思います。

たとえば
「以前、国会図書館をよく使う自民党の議員がいた。大臣になっても、大臣室から「あの情報がほしい」と依頼してきた。「役所の説明は大臣への説得。客観的な情報がほしい」と。行政府やマスコミからの問い合わせも多い。」
という御指摘にもあるように、役所にとっては不利な情報は、役所の(主にマスコミを通じた)情報コントロールにより隠蔽されるのが常ですが、それに対抗できるのは、納本制度によって国内・国外の情報を完備した国会図書館でしょう。

情報が施設にそろっても、その情報を的確に分析し、効率的に情報収集・提供できる人材がいなければ、資料は無用の長物になります。その意味で成田教授が「私は、国会図書館はいわば文化人集団だと思っている。能率だけで測れば、その機能が失われてしまう。むしろもっと勉強できる環境を作るのが課題なのに、効率だけでは本来の役割がずたずたになる。給料が高いという批判もあるが、洋書の整理や文献案内で高学歴の人材が必要という事情がある。」とおっしゃっているのは、的確でしょう。
国会図書館では、調査及び立法考査局というところから、国家政策に情報提供するために「調査と情報 Issue Brief」、「外国の立法」、「レファレンス」といったものが出版されています。
http://www.ndl.go.jp/jp/data/diet.html

こういうことが議論されるのは、日本の政策決定においては、情報収集が軽んじられているからだと思います。
たとえば、政府間で日米交渉を行うとき、両国はどのように準備をするか?

日本では、キャリアの課長補佐がキャリアの係長に資料作りを命令して、徹夜で即効で作らせるのが通常のようです。確かに日本のキャリア官僚は優秀と言われていますが(最近は司法試験や外資系企業に流れているとも言われていますが…)、このネットが発達した現在においては、その情報収集の限界が見えています。しかもキャリア係長は、ほかにも仕事をいっぱい抱えていますので、その資料作成だけに専念することができません。

一方アメリカでは、政府機関がお抱えの各分野の一流の研究者(ドクター持ち)に依頼して、資料を作成してもらいます。その分野の専門家で、仕事もそれだけに集中できるので、日本との交渉においては圧倒的に有利なわけです。

このアメリカの研究者のように、国策に有用な情報を提供できる機関がまさに、国会図書館ではないでしょうか?

坂本議員は、「図書館」というだけで、カウンターに職員が立っていて、仕事はせいぜい書架整理や図書貸出しの受付で、誰でもできる、使えない人間だってできる暇な仕事だとお思いなのでしょうが、そういう典型的な受験エリート的な考えに基づいて(日本の教育が受験優先で図書館利用教育をまともにおこなっていないのも原因でしょうが)、自分が図書館をよく知らないのをいいことに、図書館の縮減を主張されるのは、やめてほしいものです。

Posted by: 立ち読み人 | March 21, 2006 at 01:43 PM

「メール問題」で有名になっている民主党の永田議員のサイトをたまたま見たら、「国会改革の裏舞台」というタイトルで、国会図書館の独法化などについて懸念を示しているエッセイ(2月12日付け)を見つけたので、ご紹介します。
永田議員は、元大蔵官僚の方です。
http://www.nagata-h.net/talk/index.html

「そのひとつが、与党が打ち出した国立国会図書館の独立行政法人化です。国立国会図書館には、日本で発行されるあらゆる書物や映画などの映像を記録したものを保管するという機能と並び、国会議員の立法活動を補佐するという大切な役割があります。勿論、職員は国家公務員ですから、公務員の人件費抑制のためには聖域扱いせずに改革していかなければなりません。しかし、独立行政法人化となると、いささか次元の異なる議論だと思います。元はといえば、独立行政法人というのは、特殊法人の無駄遣いが世論の批判を浴びたため、企業会計を導入したり、事業に採算性を考慮させるなどの工夫をさせるために作られたものです。上記の国会図書館の機能を考えると、採算性を追求することがどこまでできるのか、疑問があります。」

やはり、分かっている方は、分かっているのですねえ。

また
「野党議員が立法活動をする際には国会図書館、衆参議院の法制局・調査室に所属する80名程度の職員と各政党の政策調査会のスタッフ、そして自らの秘書に頼るほかにありません。しかし、与党議員は、国会図書館や法制局職員はもちろん、霞ヶ関の官僚の手を借りることができるのです。このように、国会議員の立法活動を支えるスタッフの人数は、与党と野党ではおおきな差があります。このうえ、さらに独立行政法人化や定数削減が実現すれば、霞ヶ関の力が相対的に強くなるという結果をもたらすことでしょう。」
と、議会制民主主義における立法補佐機関の重要性を説かれています。
現に、議員からの資料要求が行政省庁に来た場合、与党か野党かで、量や内容が違ってくることは、有名な話です。

「国会の職員が作成に携わった野党提出の議員立法は、与党の反対にあえば審議すらさせてもらえません。国会の職員が作った議員立法を審査せずに、「彼らの働きぶりに無駄がある」と主張するのには一分の道理もないと思います。昨今の与党側の主張が、野党の立法能力を意図的に削ごうとしているかのように感じられるのは、私だけでしょうか。」
という疑問が出てくるのは、最もなことだと思います。

日本の国会が真に民主主義を実現するには、与野党問わず、国会議員が霞が関に頼らなくても済むようにし、アメリカ議会について国会図書館職員の広瀬氏が指摘するように、
「連邦議会は常に行政府の活動をチェックし、自らの意思を政策過程に反映する仕組みを作り上げてきた。これを実質的に支えているのは、多くの専門家をスタッフとする立法補佐機関などの議会独自の情報源である。」
http://www.policyspace.com/archives/200406/post_242.php
といえるくらいに、国会図書館を始めとする立法補佐機関を強化しないと、夢のまた夢になるでしょう。

そんなに「組織改革だあー、公務員を削減してスリムな行政にしなければならない」っていうのなら、行政機関を立法機関に移管することも不可能ではありません。
例えば、国立国会図書館は戦前は帝国図書館で、文部省の所管にありましたが、戦後にGHQの命令により、国会に移管されました(旧帝国図書館の国際子ども図書館の周りには、東京芸大や国立博物館といった、旧文部省所管の建物があるのは、その名残りです)。

また、アメリカでは次のような経緯で、1870年に著作権担当部署を各地区裁判所から議会図書館に移管させました。
"Congress enacted the first federal copyright law in May 1790, and the first work was registered within two weeks. Originally, claims were recorded by Clerks of U.S. District Courts. Not until 1870 were copyright functions centralized in the Library of Congress under the direction of the then Librarian of Congress Ainsworth Rand Spofford. The Copyright Office became a separate department of the Library of Congress in 1897, and Thorvald Solberg was appointed the first Register of Copyrights."
http://www.copyright.gov/circs/circ1a.html

国会改革については、一方的な情報が(意図的に)流れていますが、もっと多くの情報を国民に与え、審議していってほしいものです。

Posted by: 立ち読み人 | March 21, 2006 at 08:31 PM

> 立ち読み人 様
いつも貴重な情報のご提供、ありがとうございます。
毎日新聞は図書館にて読ませていただきました。
坂本氏が国会図書館のことを何も知らないのに人減らしのためにあの案を策定したということがよくわかるコメントだったと思いました。

今後ともよろしくお願いします!

Posted by: gomame | March 22, 2006 at 07:25 AM

gomameさん、お褒めの言葉をいただいて、光栄です。

さて、このエントリの以前のコメントで、「今でも、うちの課の印刷物や報告書を納本していないけど、何か?」(某省職員さん)に対して「だから行政は秘密主義だとか伏魔殿とか(そりゃ外務省か)っていわれるんじゃあ?」(gomameさん)っていうやりとりがありましたが、これって次の記事によれば、現実だったみたいですねえ。

委託研究58%が非公開 外務省、「機密」理由に(河北新報ニュース:共同通信社配信)
http://www.kahoku.co.jp/news/2006/03/2006032501007951.htm

この記事によれば、外務省は「公開を前提とした研究資料でない」ことを理由に、「所管の研究機関などに発注した2002年から4年分の「委託研究」計79件のうち、58%に当たる46件が研究成果のリポートを国立国会図書館に納入せずに非公開扱いとなっていることが25日、同省作成の内部資料で分かった。」ということです。

さすが「伏魔殿」(爆)

国会図書館への官庁出版物の納本義務については、国立国会図書館法では、次のように定めています。

国立国会図書館法 (昭和二十三年二月九日法律第五号)
第二十四条  国の諸機関により又は国の諸機関のため、次の各号のいずれかに該当する出版物(機密扱いのもの及び書式、ひな形その他簡易なものを除く。以下同じ。)が発行されたときは、当該機関は、公用又は外国政府出版物との交換その他の国際的交換の用に供するために、館長の定めるところにより、三十部以下の部数を直ちに国立国会図書館に納入しなければならない。
一  図書
二  小冊子
三  逐次刊行物
四  楽譜
五  地図
六  映画フィルム
七  前各号に掲げるもののほか、印刷その他の方法により複製した文書又は図画
八  蓄音機用レコード
九  電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によつては認識することができない方法により文字、映像、音又はプログラムを記録した物

②・③ 略

ここで外務省が言い訳する根拠としては、同法24条1項柱書のカッコ中の「機密扱いのもの及び書式、ひな形その他簡易なものを除く。」なのでしょうが、しかし記事で問題になっているのは「財団法人日本国際問題研究所が03年4月に受託した「軍縮政策実施体制の調査研究」」といった、民間の公益法人が作成した報告書です。外務省は金を出しているに過ぎません。
外務省が自ら入手した機密情報を用いて、省内限りで報告書を作成するのであれば、官庁納本の対象から除くという理由が立ちますが、民間法人が調査する場合には新聞記事や外国文献など、公になっている情報を前提に作業すると思われますので、「公開を前提とした研究資料でない」という言い訳は通らないと思います。
仮に外務省が、報告書を作成した財団法人日本国際問題研究所に機密情報を提供したとすれば、Winnyばりの機密漏洩ですよねえ。

それに、軍事関係の報告書なんて、国会図書館のIssue Briefなどで、余裕で公表されてますよ。
http://www.ndl.go.jp/jp/data/publication/issue2006.html
(国会図書館・Issue Brief・平成18年刊行分)

このエントリの初めから2番目のgomameさんのコメントで、
「でも、活字文化の振興を目指すんでしたら、出版物の網羅的収集と永久保存を行うという「納本制度」が十全に働くような環境整備が必要のはず。「現行の国立国会図書館法に基づく業務をベースにスリム化を図る」ことで弱体化しないかどうか心配です。今でも全部は集められないっていいますし、政府機関じゃなくなったら納本拒否続出ってことになりませんかね?」
ってありましたが、独法化したら外務省から「たかが独法に機密情報関係の報告書なんて見せられるない」って言われそうですねえ。

自民党の坂本由紀子参議院議員は、以前の国会図書館改革の記事(3つ上のコメントを参照)で
「独法化すれば職員は非公務員となるが、省庁に従属するわけではないし、国内の出版物を納入させる「納本制度」は法律で規定すれば今の機能が担保される。」
って言ってますが、今ですら担保されていないのに、どう説明するんでしょうねえ。

官僚出身の坂本議員だったら、労働行政関係の情報だったら古巣の厚生労働省の後輩に、それ以外の省庁の情報だったら、参議院別館の3・4階にある政府委員控室(この部屋の存在自体、憲法上の立法・司法・行政の三権分立に違反すると思いますが)に資料要求をするのでしょうねえ。
【参照】
「国会要覧 第32版 平成18年2月」(発行:国政情報センター)
この本を読めば、どこに政府委員控室があるか分かります。
http://kanpo.net/item/8162.html

国会図書館の独法化の議論においては、「今ですら(とりわけ官庁)納本制度は完璧ではない」ということを見過ごしてはいけない、それを思い起こさせる記事だと考えます。

Posted by: 立ち読み人 | March 26, 2006 at 12:32 PM

追加情報ですが、
国会図書館改革のジャンヌ・ダルク(?)こと坂本由紀子参院議員が厚生労働省局長時代に肝煎りで開館させた私のしごと館( http://www.shigotokan.ehdo.go.jp/ )にも、実は図書館がありました(休館中って書いていますが…)。
http://www.shigotokan.ehdo.go.jp/watashi/guide/zone/zone5/index.html

で、最近改めてサイトを見たら、何と3月31日をもって、私のしごと館図書館が閉館されることになったとの、お知らせがありました。
http://www.shigotokan.ehdo.go.jp/watashi/info_tosyo.html

このような専門図書館においては、日本社会の図書館が冷遇され、左遷先とされたり、予算削減ターゲットになっていることから、このような廃止はさして珍しいことではありませんが、創設者の思想を反映しているような気がします。きっと、まともに司書も置いていなかったんでしょうが。
つか、私のしごと館自体、運営が厳しいのかもですが。

まあ、近くに国会図書館関西館があるので、始めからなくてもよかったんでしょうけどねえ。
http://www.ndl.go.jp/jp/service/kansai/route.html

Posted by: 立ち読み人 | March 27, 2006 at 02:16 AM

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Tracked on February 25, 2006 at 02:16 AM

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