「孤立した著作物」(orphan works)の著作権法上の取扱いの検討の動向
米著作権局では、2005年2月から、「孤立した著作物(orphan works)」の著作権法上の取扱いについての検討を開始し、2ヶ月にわたってパブリックコメントを募集していました。
以前、アメリカ著作権法では、著作物の保護の要件として、議会図書館への著作権登録手続及び著作権表示(いわゆる「マルC」ってやつです)を要求していました。ところが、1989年にアメリカがベルヌ条約に加入したため、このような方式を登録の要件とすることができなくなりました。
したがって、現在では、登録及び著作権表示に一定の効果は与えているものの、必ずしも登録をする必要がなくなったわけで、著作権保護を受ける側にとっては朗報となるものの、著作物の利用者にとっては現在の著作権者の所在をつかめなくなることから、必ずしも歓迎される話ではありませんでした。
「孤立した著作物」とは、何かの理由によって著作権者の所在がわからなくなった著作物のことをいいます。これらの著作物は、いくら利用者の側で適切に許諾を得ようとしても、許諾を得る相手方と連絡が取れないわけですから、違法を承知で著作物を利用するか、利用を断念するかのいずれかになってしまうわけです。
日本などのベルヌ条約にもともと加盟していた国では以前から起こり得た問題でしたが、このようなわけで、アメリカでは最近ようやく起こってきた問題なのです。とくに、歴史的な資料をデジタル化しようとするプロジェクトに支障が生じていると言われています。
このようなわけで、アメリカではようやくこの「孤立した著作物」問題を検討しようということとなったわけです。それで、先ほど紹介しました2ヶ月のパブコメ(ウェブ上で公開されています)を経て、さらに寄せられたパブコメについての意見募集も行われました。
それで、これらの意見等を踏まえ、このたび、「孤立した著作物」の取扱いに関する円卓会議が以下のとおり開催されることになりました。
・ワシントンDC 7/26・27
・バークレイ 8/2
この会議の詳細は連邦公報(Federal Register)に近日掲載されるとのことで、また、会議の内容はウェブに掲載されるとのことです。
日本ではすでに「著作権者不明等の場合の裁定」(著76(1))という規定があり、先日にはこの手続がかなり簡便になりましたが、アメリカではようやく検討が開始された段階にあるようです。
Source:
COPYRIGHT OFFICE ANNOUNCES PUBLIC ROUNDTABLE DISCUSSIONS ON ORPHAN WORKS, U.S.Copyright Office NewsNet, June 23, 2005,Issue 262
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