« 国会図書館長の給与問題(7) | Main | 図書館の冷遇の原因について考察してみる(2) »

図書館の冷遇の原因について考察してみる(1)

国会図書館長の給与問題、という記事にお寄せくださったコメントの中で、図書館の地位軽視が原因、というものがございました。購入予算カット、人員削減、いわゆる「左遷」人事での左遷先、館長職が校長先生やベテラン公務員の「終の住処」となっている現実、委託の導入・・・日本の(特に公共)図書館界がこんな目にあったのはなぜでしょうか・・・。

これはにゃん吉さんもお書きのとおりだと思いますが、行政を決める立場の方々の「図書館観」が原因だと思いました。
いくら図書館界が「図書館は重要だ」「アメリカでは・・・」「それに比べて日本の図書館は・・・」などと言ったところで、自治体の首長、地方議会議員、財政当局、教育委員会の方々といった、(図書館)行政を決める立場の人々が「そうだねぇ」と言わない限り、何の意味もないんですから。

私たちが「この仕事はスゴい」とか「この人は大したもんだ。尊敬する」と思うのは、やはりその職業の人や職業についての情報を身近で得たり経験したりということに基づくのではないかと思います。
政治家や弁護士、大学教授、お医者さんなんかはマスコミで持ち上げられていますから、「ああ、この人たちはエラいんだなぁ」と思いますもんね。

それに比べて、学校の先生は、昔よりは尊敬されていないようです。世間的に尊敬されなくなってきたからです。

公務員の中でも、いわゆる「エリート官僚」なんかは、ヤッカミもあるのでしょうが、まぁ「エラい」って思われているようですが、地方自治体の窓口にいる職員は「コッパ役人」などと言われたりして、そんなに尊敬されていないようですよね。

それでは、「図書館」はどうでしょうか?
日本に暮らす人の最初の「図書館体験」は、公共図書館(児童サービス)でという人もいるでしょうが、多くは学校図書館ではないでしょうか。
私の行っていた小学校では学校図書館活動がそんなに盛んでなかったようで、結局ほとんどその恩恵を受けませんでした。せいぜい本を借りた程度。中学校もよく似た感じ?
高校は・・・いちおう専門の司書さんがいて読書会なんかもしていたようですが、個人的には「勉強部屋」。近くの県立図書館にも通っていましたが、もちろん「勉強部屋」。
大学では・・・あまり大差ないなぁ。

図書館に勤めている現在ではさすがに違いますが(使い方を教わったから)、だいたい普通の人だったらこんな程度の経験ではないかと。つまり、「図書館=本を貸してくれるところ&勉強部屋代わり(エアコン効いているし静かだし)」っていう認識が、10代を通じて埋め込まれてしまうわけですね。

「カウンターにいる司書さんに尋ねれば、情報の在処を教えてくれる」なんて、夢にも思わないわけです。以前にいしいひさいちさんがマンガで書いて図書館界でちょっとした騒ぎとなったこともありましたよね。カウンターにいる司書がヒマそうにしていて、何でしたっけ、税金の無駄づかいみたいなことをお書きになって。所詮、図書館に無関心な人にはそういう風にしか映っていないわけですよ。

そういう10代を過ごした人が公務員試験に合格し、自治体の財政担当や教育委員会に配属されるわけです。ある人は選挙で当選して首長になったりも。
で、行政改革だなんだで経費節減をしなければならないとき、そういう図書館像が目に浮かんでくる、と。(図書館なんて所詮は「貸本&勉強部屋」だろ。何で高い経費を掛けて専門家を雇わなきゃならんのだ)などと考えて、人を削って予算を削り、いっそ委託だ!となるのは明白でしょう。

色々大げさな原因分析がなされているようですが、所詮はそんなところだと思いますが、いかがでしょうか??

|

« 国会図書館長の給与問題(7) | Main | 図書館の冷遇の原因について考察してみる(2) »

「図書館」カテゴリの記事

Comments

gomame さん、コメントありがとうございます。

確かに、自治体等のトップの考え一つということが出来ると思います。いい方に行った例としては、鳥取県では片山知事が図書館の重要性を唱え、図書館資料費の伸び率を全国一にするなど、図書館の充実を図っています。もっとも、異端児と言われるぐらいの人なので、図書館を重視する考えも、それくらい珍しいのかもしれませんが。

図書館軽視の背景は、やはり「楽ちん」というイメージがあるかと思います。中央省庁や権の知事部局ではこんなに忙しいのに、なんで国会図書館や公立図書館は、早く帰れるのだと。
国会図書館の採用情報コーナーで、女性職員にとっては、産休・育休もとれやすくて、働きやすい、というコメントがありましたが、それは財務省的に言えば、パートや外注でもできるんでないの?、言われる側面があります。管理部門→正社員、専門家→派遣・外注という図式があるようです。
これの対策としては、特許庁も専門家(技術系技官1種の審査官)が多くて、帰りが早いといわれますが、正社員の専門家が多くないと、継続的に育成・人材配置しないといけない理由を立証する必要があると思います。
地方の公立図書館では、正規の司書職を置く理由を同じように、立証する必要があるのでないでしょうか。

あと、「給与問題(7)」にあるように、図書館を担当する当局(国会図書館、文部科学省)が、あまり働かない方向で考えているのも原因かも知れません。前者は幹部が昔ながらの教養文化主義時代の甘い志向(それとも東大でて楽な仕事をしたかった層?)で、後者は担当係に1人 or 2人しか置かず、少し前まで担当係すらなかったと聞きます。

いずれにしても、図書館「行政」を掌るという意識と、管理能力のある人間が管理職になるという、役所では当たり前のことをして、世間で認められない限り、前途は厳しいと思います。

Posted by: にゃん吉 | April 10, 2005 at 12:56 PM

にゃん吉さま、またまたありがとうございます。

図書館の存在意義といった本質的な理由の前に、専門性を生かすような仕事ぶりをしているようにとてもみられない仕事の現状や、図書館行政を所掌する人たちがちゃんとしていない、そのことを財務当局に見透かされているというわけですか・・・。

ん〜、でも、それはまさに「貧すれば鈍する」で、専門家を積極的に雇ったり育てようとする気がない(後者でいえば、司書として雇った人を数年で図書館業務以外の業務に就けるなど)人事政策のもとでは、専門性を生かした仕事ができるはずもなく、また、予算上も専門性を生かす施策ができようもないくらい削ったりしていれば、ジリ貧になってしまうのではないのでしょうか(この例は国会図書館には当てはまらないかもしれませんが)。

図書館が大事だ、もし自治体の幹部なんかがそう考えるんだったら、それを充実しようと考えると思うんです(お示しいただいた片山知事の希有なケースにもありますように)。

しかし、「なんだあんなの」という意識だと、なるべく力を削ぐ方向に働くことになるのではないのでしょうか。

そんなわけで、図書館が大事だ、そう思えるようになるためにはどういう状況になればいいのか、それを別項にて書いてみようと思います。

Posted by: gomame | April 10, 2005 at 06:58 PM

 gomameさま、はじめまして。
 (2)で書かれている政府による文化振興策と学校図書館の役割については、特に異論ございません。ただ、もう少し「現場の感覚」は反映されるべきかなあとは思います。gomameさまなり、件の行政文書を書かれた方。数年前から学校図書館の役割についてはいろいろな行政文書に出てきますが、現場知ってんのかなあ、現場の声が届いているのかなあという気がしますね。

 それより、(1)で述べられた内容について書き込みます。にゃん吉さんのおっしゃる線は私は割と頷ける感じです。
 私の思うところ、現在の段階で図書館が大事だと言うためには─要は、「正職員がちゃんと働いていないから」でしょう。それ以上でもそれ以下でもないと思います。
 この「ちゃんと」の部分がどうすればちゃんとになるのか。ご参照いただければと思いまして、TB入れさせていただきました。よろしければご笑覧ください。

Posted by: roe | April 10, 2005 at 11:13 PM

roeさま、コメントありがとうございます。
行政のトップの人が現場の声をきちんと拾っているかどうかということについては、私もかなり疑問をもっています。このことは図書館行政だけに留まらないかもしれませんが・・・。

しかし、どうでしょう。
図書館界が「現場の声」を行政のトップの人に届くような形できちんと発信しているのかどうか。私はどうも「内輪レベル」に留まっているような気がするのです。「私たちはこんなにすごいことをしているのに、わからずやのトップはまったく理解してくれない」そういう声ならよく聞きますが・・・。

「正職員がちゃんと働いていない」から図書館の重要性が主張できない、というのは、果たしてそうでしょうか?
例の80%の働きアリの話ではありませんが、ちゃんと働いていない人が一定割合いるのはどの世界にもあることでは?問題は、ちゃんと働いている正職員がまっとうな仕事をしているにもかかわらず(このあたりの認識が異なるようでしたらおっしゃってください)、行政のトップにはほとんど図書館の重要性が理解されていない、ということなのではないのでしょうか?gomameはこのことを嘆くのです。

Posted by: gomame | April 11, 2005 at 07:21 AM

 gomameさまの第一段落は私の意見にご同意いただけたということで。
 第二及び第三段落は、私のTB先の記事に下線を引かせていただいた部分に相当すると思います。MIZUKIさんのコメントでもまとめていただきました。第二段落は、私の記事の後者の方の下線部分。これは争いがないでしょう。
 第三段落の「ちゃんと」の部分が、どうあるべきかについてが、私の記事全体、特に後半で言いたいことです。gomameさんの「ちゃんとしてるじゃん」という認識と、私が言っている「正職員はちゃんと(アピールするようにはorみんなに役に立つようには)働いていないよ」というニュアンスはずれています。
 もしコメントを続けて付けていただけるようでしたら、私のブログの方にぜひおいでください。

Posted by: roe | April 12, 2005 at 12:01 AM

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/43339/3638545

Listed below are links to weblogs that reference 図書館の冷遇の原因について考察してみる(1):

» 「親切でやってあげてる」?〜図書館員の専門性 [図書館員の愛弟子]
 昨日の記事で風邪ひきの店員さんと話し込んだというのは、VTR/HDD/DVDレ [Read More]

Tracked on April 10, 2005 at 11:03 PM

« 国会図書館長の給与問題(7) | Main | 図書館の冷遇の原因について考察してみる(2) »